公開日:2025年3月17日

ヴィム・ヴェンダースの幻の傑作『ドリーム・アイランド』の復刻プロジェクトが始動。クラウドファンディングを5月15日まで実施中

東京で撮影され、ヴィム・ヴェンダースが出演・ナレーションを担当した『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』のデジタイズ費用を募集

ヴィム・ヴェンダースが出演し、ナレーションも担当していながら劇場未公開となっていた幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』が、デジタルリマスターされ世界へ届けられるプロジェクトが発足した。費用の一部を募るため、クラウドファンディングサービス「MOTION GALLERY」で3月17日〜5月15日まで支援を募集している。

『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』 ヴィム・ヴェンダース

本作は、ヴェンダース本人が「一番好きな作品」(※高松宮世界文化賞ホームページより)と語った映画『夢の涯てまでも』(1991)の“夢のシークエンス”がきっかけとなり、東京を舞台に実写ドラマとして制作された幻の未公開アートフィルムである。『夢の涯てまでも』で使用されなかった約100分間の映像から厳選されたシーンをヴェンダース自らが編集。さらに、12歳のときに撮影した8mmフィルムも使用されている。この“夢のシークエンス”は、後に“エレクトロニク・ペインティング”と呼ばれる当時最先端のメディア技法に発展し、ヴェンダースの表現において重要な位置を占める。加えて、ヴェンダース自らが出演しナレーションも務めている点で、貴重な作品である。

『夢の涯てまでも』のレーザーディスクと『ドリーム・アイランド』クレジット
『ドリーム・アイランド ―ヴィム・ヴェンダースの失われた夢』 勝鬨橋で大ちゃんとヴェンダースがハイタッチするシーン

『ドリーム・アイランド』は、1993年発売の『夢の涯てまでも』レーザーディスク版の特典映像として収録されたのみで、関係者やヴェンダースファンの間では「幻の作品」とされてきた。しかし、失われたと思われていたハイビジョンのオリジナルテープと、世界中に散在していた34本の映像素材が良好な状態で天王州の倉庫から発見された。

倉庫で見つかったオリジナルテープ

今回のクラウドファンディングは、この作品をデジタイズすることを目的としており、目標金額は800万円に設定されている。支援金は「All or Nothing」形式で、目標金額を達成した場合にのみ受け取ることができる。

『ドリーム・アイランド』デジタルリマスター製作委員会の共同代表は仲田早織が務めており、本作の撮影監督であった故・仲田能也の娘である。プロジェクトが成功した場合には、本作の制作の裏側に迫るドキュメンタリーの制作や、海外の映画祭への出品も計画されているという。

左から仲田早織、仲田早織の両親、ヴィム・ヴェンダース、映画に出演したふたりの兄とスー・ダック・リー

クラウドファンディングのページはこちらから確認できる。

『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』
1991年制作・60分・スーパー16mm/ハイビジョン映画作品
プロデューサー: ヴィム・ヴェンダース、マサ・ミカゲ
監督:ショーン・ノートン
撮影:仲田能也
出演・ナレーション・「夢」の制作:ヴィム・ヴェンダース
音楽:ニック・ウッド オスカー・デリック・ブラウン
主なキャスト:スー・ダック・リー、フミコ・オブセ、仲田英樹、仲田大記
© 2025 Dream Island Association
クラウドファンディングはこちら

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