今年のゴールデンウィークは、4月26日、27日、4月29日と飛び石で、後半は5月3日〜6日までが4連休。4月28日、4月30日〜5月2日は平日だが、最大で11連休となる。本記事ではゴールデンウィーク期間中(4月26日〜5月6日)に東日本の美術館や博物館で開催されている、注目の展覧会をエリア別に紹介。気になる展覧会を見つけて、ゴールデンウィークの予定づくりに役立ててほしい。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
『天空の城ラピュタ』『火垂るの墓』『もののけ姫』など、日本アニメ史に残る名作の背景美術を手がけた山本二三。本展では、初期から晩年までの手描きの背景画をはじめ、未公開の美術設定やイメージボード、制作用具など約220点を展示。緻密な筆致と圧倒的な空間表現で、多くの監督やクリエイターに影響を与えた山本の世界観に迫る。
会場:北海道立旭川美術館
会期:4月12日〜6月15日
GW中の休館日:4月28日
放浪の天才画家として知られる山下清(1922〜71)。その生誕100年を記念する本展では、代表作《長岡の花火》をはじめとする貼絵を中心に、幼少期の鉛筆画、晩年の油彩・水彩画、ペン画、陶磁器など、多彩な作品約190点が一堂に会する。さらに、旅に持参したリュックや浴衣といった貴重な関連資料も紹介され、作家の創作の背景や人生の軌跡をたどる。
会場:北海道立函館美術館
会期:4月19日〜6月15日
GW中の休館日:4月28日
オーストリア出身のアーティスト、エルヴィン・ヴルムの日本初個展。彫刻を学んだヴルムは、石膏や金属などの伝統的な彫刻にとどまらず、写真や映像、絵画といった多様なメディアを用いて、彫刻の概念を拡張している。身の回りの日用品を使い、社会に存在する規範や制度、権力の構造をユーモラスに炙り出し、作品を通じて鑑賞者に様々な問いを投げかける。本展では、最新作《学校》を初公開する。詳細はニュースをチェック。
会場:十和田市現代美術館
会期:4月12日〜11月16日
GW中の休館日:なし
2020年の開館から弘前れんが倉庫美術館の5周年を記念して開催される展覧会。同館は、弘前や津軽地方固有の風土、歴史、民俗、文化に根差しつつ、新たな価値の創造を目指し、コミッション・ワークを収蔵してきた。今回の展覧会では、コレクションとともに、未来を担うアーティストたちの作品を紹介する。参加作家には、川内理香子、SIDE CORE、工藤麻紀子、松山智一、畠山直哉、小林エリカ、田村友一郎、藤井光、大巻伸嗣、奈良美智らが名を連ねる。
会場:弘前れんが倉庫美術館
会期:4月4日〜11月16日
GW中の休館日:なし
『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターであり、漫画家としても活躍する安彦良和の創作活動を展望する回顧展。北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれ、大学では学生運動に参加、その後上京してアニメ制作に加わり、漫画家に転身する激動の半生を振り返る。本展では、初公開を含むアニメ制作時の貴重な資料、端正美麗なカラーイラスト、漫画原稿など1000点以上の作品資料を紹介する。
会場:青森県立美術館
会期:4月19日〜6月29日
GW中の休館日:4月28日
古代ローマ時代から存在していたポスターは、19世紀に印刷技術の革新とともに大きく発展。ロートレック、ミュシャ、シェレなどのアーティストたちは、斬新な表現を通じてポスター芸術の新たな可能性を切り開いた。20世紀に入ると、ピカソ、マティス、シャガール、ミロといった近代美術の巨匠たちが印刷工房と協力し、美術館や画廊の展覧会ポスターを制作し、ポスターは単なる広告を超えて、芸術そのものとしての地位を確立した。本展では、ポスター芸術の誕生から進化までを約160点の作品で紹介し、その魅力を深く掘り下げる。
会場:岩手県立美術館
会期:4月12日〜6月8日
GW中の休館日:なし
大規模改修工事のため休館中の江戸東京博物館から、常設展示室「江戸ゾーン」より選りすぐりの品々を通じて、江戸時代の歴史と文化をわかりやすく紹介する本展。浮世絵を中心とした多彩な絵画や、江戸庶民の暮らしに密接に関わる道具、娯楽に関する資料を展示し、江戸時代の生活の様子を鮮明に伝える。さらに、東大発の知識集団「QuizKnock」が独自の視点で江戸時代の歴史を解説し、来場者に新たな発見を提供する。
会場:東北歴史博物館
会期:4月19日〜6月22日
GW中の休館日:なし
数々の名作を生み出してきた漫画家・イラストレーター江口寿史。2022年に横手市増田まんが美術館に全マンガ原画を収蔵し、画業50周年を目前にしたいまも第一線で活躍し続けている。本展では、『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん!』を中心に、江口のギャグセンスが光る名場面を厳選して展示。江口寿史ワールドを存分に堪能できる貴重な機会となる。
会場:横手市増田まんが美術館
会期:4月12日〜6月15日
GW中の休館日:なし
社会の変化が加速するなか、心身を整える手段としてサウナやフィットネス、推し活などが広がりを見せている。本展では「ととのう」をテーマに、美術館が提案する新たなヘルスケアの可能性を探る。19世紀西洋絵画にみられる自然への憧れや、サルバドール・ダリが描いた天国のイメージを通じ、アートがもたらす癒しを体験できる構成となる。さらに、美術館とヘルスケアの関係を科学的に検証し、鑑賞者が“ととのう”感覚を得られる場を提供する。
会場:諸橋近代美術館
会期:4月12日〜6月29日
GW中の休館日:なし
躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩の絵画で知られる近藤亜樹(1987〜)。東日本大震災の余波に人々の心が揺らぐ2012年に画家としてデビュー。日常の事物や記憶に残る人々の面影、植物、幼子の言葉といったプライベートなモチーフから生と死や超越的な自然の力といったテーマまでを自身のなかに受け止め、それらを描くことで異なる者同士が「いま・ここ」につながり合う世界を展望してきた。本展では、生命の祝福、他者とともに在ること、災害や戦禍にある人々への想い、葛藤とレジリエンスなど、近藤の作品を通して「生きること」と「描くこと」が切り開く世界に迫る。
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:2月15日〜5月6日
GW中の休館日:4月28日
本展は、思想家・柳宗悦(1889〜1961)が提唱した「民藝」について、柳の存命中および没後の展開をたどるもの。日本民藝館に収蔵されている柳の蒐集品を中心に、陶磁器・染織品・ガラス工芸など、約150点を展示し、暮らしに根ざした美を紹介する。さらに、民藝がいまも息づく産地の作り手の仕事を紹介し、テリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Artディレクター)による現代の民藝とライフスタイルを融合させたインスタレーションも見どころだ。2023年に大阪中之島美術館で開催された本展のレビューはこちら。
会場:千葉県立美術館
会期:4月22日〜月29日
GW中の休館日:4月28日
埼玉県立近代美術館は1982年の開館以来、メキシコの近現代美術を収集し、メキシコ美術に焦点をあてた展覧会をたびたび開催してきた。こうした活動の背景には、埼玉県とメキシコ州との姉妹提携締結(1979)に加えて、1955年の「メキシコ美術展」を訪れ、メキシコ美術への造詣を深めていった初代館長・本間正義の存在があった。本展では、1950年代にメキシコに惹かれた美術家のなかから、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の足跡をたどり、彼ら彼女らがメキシコをどのようにとらえたのかを考える。また同館のメキシコ美術コレクションとその形成の歩みを、学芸員としてメキシコ美術の普及に努めた本間の仕事とともに紹介する。
会場:埼玉県立近代美術館
会期:2月1日~ 5月11日
GW中の休館日:4月28日
3月1日にオープンしたハイパーミュージアム飯能のオープニング展を担当するのは、現代美術作家のヤノベケンジ(1965〜)。1990年代に《タンキング・マシーン》で登場し、《トらやん》《ラッキードラゴン》《サン・チャイルド》など、強烈なインパクトを持つキャラクターの巨大彫刻を制作し続けているヤノベ。本展では、地球に生命をもたらした宇宙猫の物語を表現したGINZA SIXでの大規模展示「BIG CAT BANG」の続編として、メッツァ敷地内の宮沢湖に眠り猫の巨大な浮島を出現。詳細はニュースをチェック。
会場:ハイパーミュージアム飯能
会期:3月1日〜8月31日
GW中の休館日:なし
自然や街並みの色、生活用品の色などに加えて、10億色を超える色の再現力を持つと言われる最新のモニターやスマートフォンの画面など、現代社会では人間がかつて経験したことのない色彩世界が広がっている。本展は、近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現に注目し、色彩論や色を素材との関係に触れながら、色彩の役割についてあらためて考察するもの。チューブ入りの油絵具を巧みに扱った19世紀の印象派や新印象派から、20世紀のフォーヴィスムの絵画や抽象絵画、色彩の影響力によって見る者の身体感覚をゆさぶる現代アートまで、近現代の色彩の歴史を、絵画や彫刻、インスタレーションなどを通して読み直す。レポートを公開中。
会場:ポーラ美術館
会期:2024年12月14日〜5月18日
GW中の休館日:なし
2021年3月から大規模改修工事を行っていた横浜美術館が、2月8日に全館オープンを迎えた。リニューアルオープン記念展となる「おかえり、ヨコハマ」は蔵屋美香が2020年に横浜美術館館長に就任してから初となる、自身の企画による展覧会。同館のコレクションを新たな視点で紹介するほか、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーなど、主に横浜市内の施設が所蔵する作品や資料も展示。ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、ルネ・マグリット、奈良美智など、近代美術の名作から現代美術の作品までを楽しむことができる。レポートはこちら。
会場:横浜美術館
会期:2月8日〜6月2日
GW中の休館日:5月1日
ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、彫刻、棺、宝飾品、陶器、パピルス、そして人間やネコのミイラなど約150点の遺物を通じて、高度な文化を創出した人々の営みをひもとく。これまでのエジプト展で見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッドの研究成果まで、映像や音声も交えて紹介。新進気鋭のエジプト考古学者、河江肖剰が大型展初監修。1月25日~4月6日まで開催の森アーツセンターギャラリーでの展覧会のレポートはこちら。
会場:静岡県立美術館
会期:4月19日〜6月15日
GW中の休館日:なし