公開日:2025年2月28日

東京都庭園美術館、年に1度の建物公開展が6月から開催へ。「建物公開2025 時を紡ぐ館」

夏に行う建物公開展としては、約6年ぶり。旧朝香宮邸における建築空間の機能の変遷に着目し、建物の記憶をひもとく。会期は6月7日~8月24日

アール・デコ様式の邸宅建築の魅力に触れる

東京都庭園美術館の建物公開展「建物公開2025 時を紡ぐ館」が、6月7日~8月24日に開催される。

東京都庭園美術館の本館は、1933年に朝香宮家の自邸として竣工した。1920年代にパリに滞在し、最新のアール・デコデザインに触れた朝香宮夫妻は、自邸の建設にあたり、フランスの装飾美術家アンリ・ラパンに主要な部屋の内装デザインを依頼した。設計には宮内省内匠寮の建築技師・権藤要吉を起用。昭和初期の邸宅建築としては最高峰のひとつとされ、国の重要文化財に指定されている。竣工時からの改変はわずかで、当時の様子を良好な状態で伝えており、同館では年に一度、テーマを設けて建築の魅力を紹介する建物公開展を行っている。

各時代ごとの建物の記憶をひもとく

今回は、旧朝香宮邸における建築空間の機能の変遷に着目。朝香宮家の邸宅としての14年間、吉田茂元首相が政務の場として活用した7年間、国の迎賓館として、数々の国賓をもてなした19年間、民間の催事施設として、多くの人々に開かれた7年間、そして美術館としての42年間など、時代ごとに建物がどのような機能や役割を果たし、人々と共生してきたのかを探る。各時代を彩るゆかりの作品や写真・映像資料を通して、建物の記憶をひもとく。

会場では、朝香宮夫妻と設計を担当した権藤の欧州滞在にまつわる貴重な品々やアルバム写真を展示し、朝香宮邸の建築そのものの魅力の源泉に迫るほか、吉田茂の首相公邸や国の迎賓館として外交の最前線を担った館の姿を資料・写真・作品などを通して紹介。新館では、美術館として開館して以来、装飾芸術との関連で国内外問わず収集している現代作家の作品を展示する。

また今回は、毎年恒例の建物公開展としては約6年ぶりの夏の開催となることから、新緑の庭園を望めるように窓のカーテンを開けて、かつて人々が往来した邸宅空間の再現展示を行うほか、本館3階のウインターガーデンを特別公開する。会期中は、会場内の写真撮影が可能となる。(一部制限する場合あり)

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