「人間が生み出した生命」との関係を問い直す。パトリシア・ピッチニーニ×北川宏人「交差する未来」展が、大阪・Yoshiaki Inoue Galleryで開催

現代彫刻の最前線で活躍する2人のアーティストによる企画展。「人間と非人間」「愛と支配」「倫理と創造」の関係性を問う

左:パトリシア・ピッチニーニ The Coup 2012 AP1 パトリシア・ピッチニーニ The Coup 2012 AP1 シリコン、ガラス繊維、毛髪、布、剥製のオウム 116×60×55cm 右:北川宏人 CU2417 - アテナ(Athena) 陶器、釉薬 163×44×31cm

パトリシア・ピッチニーニと北川宏人による企画展「交差する未来 ― パトリシア・ピッチニーニと北川宏人」が、大阪・心斎橋のYoshiaki Inoue Galleryで開催される。会期は4月11日〜5月17日。

生命のあり方や倫理的問題を提起するパトリシア・ピッチニーニ

オーストラリアの現代アーティストであるパトリシア・ピッチニーニは、シリコンやプラスチック、人毛などを用いて人間と動物を掛け合わせたような、インパクトのあるリアルな彫刻作品で知られる。その作品は、遺伝子操作やバイオテクノロジーが生み出す「未来の生命」をテーマに、生命のあり方や倫理的問題を鋭く提起する。

パトリシア・ピッチニーニ Haven 2022 シリコン、ガラス繊維、毛髪 28×19×18cm

「理想のペット」をめぐる人間のエゴを風刺する北川宏人

焼き物を素材に現代の若者や近未来的な人物の彫刻を制作している北川宏人は、2004年にペットブームや動物の商品化を背景にした「ハイパーペット・シリーズ」を発表。私たちが生き物に向ける愛情と支配の曖昧な関係を浮き彫りにした。「かわいらしさ」の裏に存在する人間の欲望と倫理をユーモアを交えて表現する北川の作品は、テクノロジーと生命の関わりにまつわる問いを、見る者に投げかける。

北川宏人 CU2418 - 金のうさぎメット 61×18×13cm

未来の生命観に対する新たな視座を提示する

本展では、バイオテクノロジーの進化がもたらす新たな生命の可能性を探るピッチニーニと、人間のエゴや欲望が生み出す「理想のペット」を風刺的に表現してきた北川の作品を並列し、「人間が生み出した生命」との関係性を多角的に問い直すことを試みる。「人間と非人間」「愛と支配」「倫理と創造」の関係性をあらためて見つめ、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」が掲げるテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とも呼応しながら、未来の生命観に対する新たな視座を提示する。北川は、過去作に加え、「人」「テクノロジー」「動物」「キャラクター性」を融合させた新作を発表する。

パトリシア・ピッチニーニ The Protégé 2023 シリコン、樹脂、タオル地、毛髪 25×46×26cm
北川宏人 CU2422 - パール 45×13×7cm

未来の生命は、人間の手によってどのようにかたち作られるのか? 2人のアーティストによる表現を会場で体感してほしい。

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