広島市現代美術館 Photo: Kenichi Hanada
2025年、広島は被爆80周年を迎える。これにあわせ、広島市現代美術館では特別展「被爆80周年記念 記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ」を開催する。会期は6月21日〜9月15日。
本展は、戦争や原爆の記憶と美術表現の関係をテーマとする展覧会。戦中の銅像やその作り手、戦後に再建された像の例から、それらが関係した記憶の形成、忘却、再構成について考える。
また、モニュメント、ミュージアム、アーカイブといった記憶形成にかかわる物や活動に関心を持ち、主題として取り扱うアーティストによる近年の試みを紹介。過去を現在との連続性においてとらえ、過去の営みと対話的に向き合う姿勢について検討する。また「ヒロシマ」をテーマとした同館コレクションをあわせて紹介し、表現や制度を通して形成される戦争の記憶、当事者性、過去を継承する可能性についての対話的、建設的な議論と思索の場を提起する。
広島市現代美術館は、現代美術に全国で初めて本格的に取り組む公立美術館として1989年に開館。以来、広島という土地の歴史や文脈に根ざした展覧会を継続してきた。本展もまた、その延長線上にあるものといえる。「ヒロシマの心」を伝える役割を担い、様々な学びの場を創出することを目指す同館が、この被爆80周年という節目の年に提示するビジョンに期待したい。
広島市現代美術館は、このほかにも2025年度の展覧会スケジュールを発表した。
鷹野隆大(1963〜)は写真集『IN MY ROOM』(2005)で第31 回木村伊兵衛賞を受賞し、現在も国内外で活躍を続ける写真家、アーティスト。セクシュアリティをテーマにした作品と並行し、「毎日写真」や「カスババ」といった日常的なスナップショットを手がけ、さらに東日本大震災以降は「影」を被写体とした、写真の根源に迫るテーマにも取り組んでいる。
*巡回展
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20世紀後半のイギリス美術を代表する画家のひとり、エイドリアン・バーグ(1929〜2011)の個展。遠近法や従来の色彩理論にはとらわれない独自のスタイルで風景画を描きつづけ、とくに1961年からの約30年間は自宅のテラスから見える王立公園リージェンツ・パークをもっぱらの主題として風景画の再構築に挑んだ。
日本でもブームが定着したサウナ。その発祥は約2千年前のフィンランドと言われている。本展ではサウナにまつわる歴史や文化をひもとくとともに、アルヴァ・アアルトをはじめとした北欧デザイナーとサウナの関わりも紹介する。
*巡回展