「市場レストラン 西村商店」 スマガツオの一本刺し定食(1,798円、税込)
アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。
本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。
今回は、高知県立美術館主任学芸員の塚本麻莉さんが登場です。 【Tokyo Art Beat】
*塚本麻莉さんが企画を担当する「浜田浄 めぐる 1975-」展のレポートはこちら
学芸員にとって、食事は展示に次いで重要なトピックである(少なくとも筆者にとっては)。デスクワーク中心の仕事と思われがちだが、実際は展示作業や収蔵庫の整理など体力仕事も多い。というか原稿仕事でさえ、何か口にしないと脳が働かない。
そんな筆者がここぞという時に訪れるのが、美術館から徒歩5~10分の位置にある「市場レストラン 西村商店」だ。当館は市の中心地からやや離れているため、周囲に目ぼしい飲食店が少ない。しかし西村商店は別格である。地元住人からも愛される人気店であり、当館で展示設営を行うアーティストの多くは、昼食を西村商店で取りたいがゆえに、店が混雑する正午を避けて昼の休憩に入るほどだ。(※西村商店は土日祝日の昼は非常に混み合うため、時間に余裕を持って訪れることをお勧めする)
特に有名なのが、「一本刺し定食」。その日の朝に獲れた旬の魚を豪快に串刺しにして提供される、見た目にもインパクトのある一品だ。季節や漁の状況によって魚の種類は日々変わるので、リピーターでも飽きることがない。写真はスマガツオの一本刺し定食だが、高知ではおなじみのカツオの藁焼きのほか、ドロメ(シラス)やネイリ(カンパチ)、クジラといった地元ならではの新鮮な魚介を使った定食も豊富に用意されている。
🏠市場レストラン 西村商店
📍高知県高知市葛島2丁目7−20
🐾美術館から徒歩5〜10分
🚃JR高知駅 車 15分、はりまや橋 路面電車 15分 はりまや橋から土佐電鉄路面電車「ごめん」、「領石通」または「文珠通」行きで15分、「県立美術館通」下車徒歩1分
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公式サイト
いっぽうで、やはり近場も重宝する。筆者は館内にある「ミュージアムカフェ マルク」にも足繁く通っているが、なかでも定期的に頼んでしまうのは「からあげランチ」だ。
シンプルな定番メニューだが、ジューシーなからあげとサフランライス、サラダ、スープという組み合わせは間違いがない。筆者は事務仕事や展示設営で心身ともに疲れ切り、館外に出る気力すらないとき、ここのからあげの美味しさに幾度となく救われてきた。
🏠ミュージアムカフェ マルク
📍高知県高知市高須353−2 高知県立美術館内
🐾美術館から徒歩0分(美術館内)
🚃JR高知駅 車 15分、はりまや橋 路面電車 15分 はりまや橋から土佐電鉄路面電車「ごめん」、「領石通」または「文珠通」行きで15分、「県立美術館通」下車徒歩5分
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美味しい昼食を堪能した後は、当館の展示や公演をゆっくり鑑賞していただきたい。高知県立美術館は、コレクション展や企画展を行う展示室に加え、可動式の能舞台をも擁するホールを併設している。県唯一の県立美術館として、高知にゆかりを持つ作家を紹介する自主企画展にも力を入れているほか、写真家・石元泰博の常設展示室もある。また展示に限らず、映画通を唸らせるマニアックな映画上映会や、海外カンパニーを招聘した舞台公演など、多彩なプログラムを展開している。ぜひご当地グルメと抱き合わせで楽しんでいただければ幸いである。
塚本さんが次の案内人に推薦するのは、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館キュレーターの竹崎瑞季さん。 どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!
塚本麻莉
塚本麻莉