会場風景
ロエベ初の大型展覧会「ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界」が、東京・原宿(東京都渋⾕区神宮前6-35-6)で3月29日〜5月11日に開催される。
1846年、スペイン・マドリードでレザー職人の工房として誕生したロエベ。本展は、179年の歴史を誇る同ブランドが培ってきたクラフトマンシップと、革新性に満ちたファッションの世界観を紹介する。2024年に上海でスタートし、ついに東京に上陸。今回は、日本国内外でのコラボレーションや文化プロジェクトに焦点を当て、特別な作品を展示するだけでなく、会場デザインも新たな視点で解釈される。
本展は7つの章で構成され、ロエベの多面的な魅力に迫る。「手から生まれたもの」では、創業時のレザーアイテムから、「アマソナ」や「パズル」といった人気バッグの初期モデル、リアーナやビヨンセが着用した衣装、さらには2024年メットガラの衣装まで、ロエベの進化の軌跡をたどる。
続く「スペインへようこそ」では、ロエベの故郷であるスペインの多彩な風景やクラフトの伝統、そこから生まれたデザインに着目する。スペインを代表する芸術家パブロ・ピカソの陶芸作品を通じて、彼の創作におけるクラフトの重要性にも光を当てながら、一つひとつの展示が様々な光景を描き出す。
「ロエベのアトリエ」の部屋では、ロエベのアイコニックなバッグがかたちになるまでの過程を紹介。実際のアトリエを再現し、レザーのライブラリーから始まり、裁断、トリミング、塗装、組み立てといった工程を経るなかで、職人が手仕事で用いる道具や、試作と検査の過程が明らかになる。
「城の部屋」の中央には、高さ2mに巨大化した「ハウルの動く城 バッグ」が登場。このバッグは、スタジオジブリの名作にインスパイアされ、ロエベが2023年のカプセルコレクションのためにデザインしたもの。じつは、ロエベのアイコニックなバッグの要素を組み合わせて作られており、ハンモックのパネル、フラメンコクラッチの波打つディテール、ゴヤの内ポケットに加え、ミニチュアサイズのアマソナやブレスレットポーチまで組み込まれている。
「クラフトによる連帯」の部屋では、手でものを作る喜びと、世界各地のクラフトを支援するロエベの取り組みに焦点を当てる。LOEWE FOUNDATION(ロエベ財団)が支援する、京都で400年以上にわたり茶の湯釜を造り続けてきた大西家のドキュメンタリー映像に加え、Craft Prizeのファイナリストである四代田辺竹雲斎と渡部萌、2019年の大賞受賞者・石塚源太、「ミラノサローネ国際家具見本市」の展示でコラボレーションしたARKO、松本破風、米澤二郎らの作品が紹介される。
「限界なきファッション」のコーナーでは、ジョナサン・アンダーソンが2013年にロエベのクリエイティブディレクターに就任して以来のコレクションを象徴する54のルックを展示。精緻なクラフトマンシップやトロンプ・ルイユ(だまし絵)技法、意外性のある素材使いに注目してほしい。
展覧会を締めくくるのは、ロエベが影響を受けた世界観を表現する5つの空間。ケン・プライスのアトリエを再現した部屋、日本の陶芸ユニット・スナ・フジタによる幻想的な展示、スタジオジブリの世界へと誘う空間などが広がる。
さらに、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を代表する建築家、チャールズ・ヴォイジーのタイルやテキスタイルデザインを再解釈し、東京のクリエイティブスタジオ「edenworks」とのコラボレーションによって、空中で揺れる花園も登場。
本展は事前予約制で、入場無料。ロエベの179年にわたる歴史、スペインの伝統、そしてクラフトの魅力に触れられる絶好の機会となりそうだ。