ポートレイト: Photo Kazumi Kurigami
グラングリーン大阪・うめきた公園内に位置する文化施設「VS.(ヴイエス)」で、異端の建築家・安藤忠雄の個展「安藤忠雄展 | 青春」が開催される。会期は3月20日から7月21日まで。
大阪に生まれ、独学で建築を学んだ安藤忠雄は、1969年に建築設計活動を開始し、以来、既成概念を打破する斬新な建築作品を世に送り出してきた。90年代以降はその活動の舞台を世界へ広げ、環境再生や震災復興といった社会貢献事業にも尽力。建築家の枠組みに留まらない、多岐にわたる旺盛な活動は国内外で高く評価されている。
本展は、安藤が長年取り組んできた大阪都市再生プロジェクトの最前線、グラングリーン大阪の新しい文化施設「VS.」で開催され、その創造的冒険の歩みを一望にできる貴重な機会となる。会場は「挑戦の軌跡」と「安藤忠雄の現在」のふたつのゾーンに分かれ、前者では住宅から祈りの空間・美術館などの文化施設に至るまで、安藤の過去の代表作を一挙に展示。後者では、現在進行中の安藤の仕事を紹介し、その最新の創作を感じ取ることができる。
本展の特徴のひとつは、天井高15メートルの没入映像空間だ。安藤の代表作を巡る迫力の立体映像空間が展開され、ヴァーチャル空間体験の限界に挑む。さらに、初期代表作である「水の教会」が会場内に原寸大で再現され、来場者はその空間を五感で体験することができる。
また、37年にわたる「直島の一連のプロジェクト」に代表される長期スパンの作品群や、歴史的建造物の再生プロジェクト「ブルス・ドゥ・コメルス」、社会貢献プロジェクト「こども本の森」など、安藤が手がけた多様なプロジェクトを体感できる展示となる。安藤の独自の建築哲学深く理解できる貴重な機会となりそうだ。