公開日:2025年4月15日

「LOVEファッション─私を着がえるとき」(東京オペラシティ アートギャラリー)が開幕。アート作品とともに愛と欲望をめぐるファッションの歩みをひもとく

コム・デ・ギャルソン、ステラ マッカートニーなどの衣装やアート作品を展示。会期は4月16日〜6月22日。(撮影:編集部)

Chapter 4「自由になりたい」展示風景より、コム・デ・ギャルソン2020年春夏コレクション

18世紀から現在までのファッションの歴史をひもとく

東京オペラシティ アートギャラリー「LOVEファッション─私を着がえるとき」が開催される。会期は4月16日〜6月22日。

京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、ファッションとの関わりにみられる様々な「LOVE」のかたちについて考える展覧会。アート作品を合わせて展示し、人間の根源的な欲望を照射することを試みる。KCIの豊かなコレクションより選ばれた、18世紀から現代までのさまざまな衣服74点と装飾品15点を中心に、アート作品約40点を加え、約130点の作品を紹介する。

Chapter 1「自然にかえりたい」展示風景より、左は横山奈美《LOVE》(2018、豊田市美術館蔵)

本展は5章で構成。「Chapter 1 自然にかえりたい」では、歴史の各時代に現れた動物素材や植物柄のファッションを展示。華やかな花柄が刺繍された18世紀の男性用ウエストコートから毛皮不使用や環境保護を標榜するエコファーのコートなどとともに、人間の毛髪を素材とした小谷元彦の作品が並ぶ。

「Chapter 1 自然にかえりたい」展示風景

「Chapter 2 きれいになりたい」では、バレンシアガ、ディオール、ヨウジヤマモトなど、個性的で洗練されたシルエットの作品が見どころ。

「Chapter 2 きれいになりたい」展示風景

川久保玲によるコム・デ・ギャルソンが、1997年春夏に発表した「Body Meets Dress, Dress Meets Body」、通称「こぶドレス」は、規範的で美しいとされる女性の身体性を問い直す画期的な作品だ。

「Chapter 2 きれいになりたい」展示風景より、コム・デ・ギャルソンの展示

「Chapter 3 ありのままでいたい」では、1990年代以降にプラダやヘルムート・ラングらが牽引したミニマルなデザインの服や、「下着ファッション」を紹介。ヴォルフガング・ティルマンスの写真や、現代社会を生きる女性のリアルを描写した松川朋奈の絵画も合わせて展示される。

「Chapter 3 ありのままでいたい」展示風景
「Chapter 3 ありのままでいたい」展示風景

「Chapter 4 自由になりたい」は、コム・デ・ギャルソンとコム・デ・ギャルソン オム・プリュス2020年春夏コレクション、川久保玲が衣装デザインを担当したウィーン国立歌劇場でのオペラ作品《Orlando》(2019)の「オーランドー」3部作を展示。ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』(1928)は、300年のなかで性や身分を越境する主人公の変身譚を、度重なる衣服の「着がえ」とともに描写した。

「Chapter 4 自由になりたい」展示風景

「Chapter 5 我を忘れたい」では、トモ・コイズミをはじめとする日本出身の気鋭のデザイナーの作品をはじめ、マジカルな高揚感をもたらしてくれる作品の数々が並ぶ。

AKI INOMATAの《やどかりに「やど」をわたしてみる》、原田裕規《シャドーイング》(2023〜24)にも注目したい。

Chapter 5「我を忘れたい」展示風景より、Tomo Koizumi ジャンプスーツ 2020年春夏
「Chapter 5 我を忘れたい」展示風景
「Chapter 5 我を忘れたい」より、AKI INOMATA《やどかりに「やど」をわたしてみる-Border-(東京)》(2015、作家蔵) 
会場風景より、原田裕規《シャドーイング》(2023-24)

*京都会場(京都国立近代美術館)での同展の詳細レポートも公開中。

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