今年のゴールデンウィークは、4月26日、27日、4月29日と飛び石で、後半は5月3日〜6日までが4連休。4月28日、4月30日〜5月2日は平日だが、最大で11連休となる。本記事ではゴールデンウィーク期間中(4月26日〜5月6日)に西日本の美術館や博物館で開催されている、注目の展覧会をエリア別に紹介。気になる展覧会を見つけて、ゴールデンウィークの予定づくりに役立ててほしい。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
ポストモダン以降、絵画は従来のタブローとしての絵画から脱却し、絵画それ自体をメディウム化する方向へと展開してきた。オブジェを組み合わせてイリュージョンを排除するような絵画、空間全体を取り込むような絵画、作者が架空と実在を行き来するような絵画、現実と虚構に揺さぶりをかける絵画、パフォーマンスや映像を組み合わせた絵画、絵画それ自体の存在を問うような絵画などの取り組みは、現実の世界と深いつながりを結んでいる。本展では、対極する戦後ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターとアンゼルム・キーファーを起点に、絵画における表現の可能性を探究し、それぞれの手法や視点から独自の「絵画」に取り組むアーティストを紹介する。ニュースはこちら。
会場:金沢21世紀美術館
会期:4月29日〜9月28日
GW中の休館日:なし
絵画制作を出発点としながら、早くから立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開してきた玉山拓郎。日常的に用いられる机や電球が大地や星々のようにも見えるなど、彼の作品は内なる場(In-terior)と外界(ex-terior)の関係へと想像をひろげつつ、大小のスケールの振れ幅に両者の境界を問う。本展では、谷口吉生が手がけた豊田市美術館の特徴的な展示空間を活かし、ひとつのインスタレーションが展示される。建築家・石上純也との対談もぜひチェックしてほしい。
会場:豊田市美術館
会期:1月18日〜5月18日
GW中の休館日:なし
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戦前から戦後にかけて活躍した、木漆工芸家・黒田辰秋(1904〜82)の生誕120年の記念展。艶やかな塗り、曲線や捻りが生み出す大胆な造形の拭漆、耀貝(メキシコ鮑)により新たな境地を開いた螺鈿などによる初期から晩年までの黒田の代表作に加え、図面や未発表資料もあわせて展観。家具等の大作から掌で愛でる逸品まで、多彩な作品を通じて黒田辰秋の作品世界の真髄に迫る。
会場:豊田市美術館
会期:3月15日~5月18日
GW中の休館日:なし
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その独創的な画風から、生前より高い評価を受け、現在では20世紀前半のもっとも重要な美術家のひとりとされているパウル・クレー。兵庫県立美術館を含め国内3館を巡回する「パウル・クレー展——創造をめぐる星座」では、ベルンのパウル・クレー・センターとの学術的な協力のもと、キュビスム、表現主義、ダダ、シュルレアリスムといったクレーと同時代の美術動向にも目を向け、クレーの作品を他作家の作品とあわせて展示。クレーの独自性にとどまらずその同時代性や交流などにも光を当てる。兵庫県立美術館では10年ぶりのクレー展となる。
会場:兵庫県立美術館
会期:3月29日〜5月25日
GW中の休館日:なし
印象派を代表する画家のひとりであるクロード・モネ(1840〜1926)は、一瞬の光をとらえる鋭敏な眼によって、自然の移ろいを画布にとどめた。本展では、世界最大のモネ・コレクションを所蔵するパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開作品を含むおよそ50点が来日。さらに日本各地に所蔵される作品も加え、モネ晩年の芸術の極致を紹介。日本では過去最大規模の「睡蓮」が集う貴重な機会となる。2024年10月5日から2025年2月11日まで国立西洋美術館で開催された本展のレポートはこちら。
会場:京都市京セラ美術館
会期:3月7日~6月8日
GW中の休館日:なし
19世紀後半、ポーランドの歴史や文化的逸話を大きなスケールで描き名声を博したヤン・マテイコ。クラクフ美術学校教授を務めた彼のもとからは、数多くの若き芸術家たちが巣立った。「若きポーランド」と呼ばれた彼らは、印象派など当時西欧で新しく生まれた芸術の動向を貪欲に吸収し、浮世絵を主とする日本美術を参照する傍ら、地方に残る伝統文化を発見・再解釈しながら、ポーランドの国民芸術の在るべき姿を模索した。本展では、マテイコ、「若きポーランド」の数多くの代表的絵画作品ならびに版画、家具やテキスタイルなどの工芸品を含む約130点によって、前世紀転換期に花開いたポーランド美術の真髄を紹介する。
会場:京都国立近代美術館
会期:3月25日〜6月29日
GW中の休館日:4月28日
半世紀以上にわたり、⽂学・歴史・哲学・科学・宗教・神話などを題材に、⼈類の普遍的なテーマを扱う扱うスケールの大きな作品を制作してきたアンゼルム・キーファーが、京都の世界遺産・元離宮二条城を舞台に行う展覧会。キーファーにとってアジアでは過去最大規模の展覧会となり、新作や初公開作品を含む絵画・野外彫刻・ガラスケース作品・インスタレーションなど計33点が、二の丸御殿台所・御清所(重要文化財)とその周辺の庭園に展示されている。⽇本の和歌から着想を得た作品や、原爆投下後の広島の⾵景が描きこまれた作品もあり、壮大な作品のなかにキーファーの⽇本への眼差しを垣間見ることができる。展覧会レポートはこちら。
会場:元離宮二条城
会期:3月31日〜6月22日
GW中の休館日:なし
2013年から京都市内各所を舞台に開催されている写真の国際芸術祭。第13回を迎える今回は、「HUMANITY(人間性)」をテーマに掲げる。共同創設者/共同ディレクターはルシール・レイボーズと仲西祐介。メインプログラムでは、石川真生、JR、マーティン・パーら世界10ヶ国から13組のアーティストが参加。市内の様々な会場で展示を行う。またサテライトイベントとして、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的とした公募型アートフェスティバル「KG+2025」も開催される。詳細はニュースをチェック。
会場:京都市内各所
会期:4月12日〜5月11日
GW中の休館日:休館日は会場により異なる
世界的な前衛芸術家である草間彌生(1929~)による初めての大規模な版画展。世界最大の草間コレクションを誇る草間の故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する340点にも及ぶ版画作品から、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作や、モノクロームの大型シルクスクリーン作品「愛はとこしえ」シリーズなど、厳選した作品に作家蔵を加えた約300点を展示する。
会場:京都市京セラ美術館
会期:4月25日~9月7日
GW中の休館日:なし
大阪に本社を置き、2023年に40周年を迎えた大手ゲームソフトメーカー「カプコン」。1983年の創業以来、『ストリートファイター』『バイオハザード』『モンスターハンター』シリーズなど、世界的人気タイトルを生み出してきた。本展は、ゲーム開発の裏側やゲームクリエイターの情熱に焦点を当て、大阪から世界に向けてその魅力を発信する。開発者たちの「手」による企画書や原画、ポスターやパッケージを含むグラフィックワーク、体験型コンテンツを幅広く展示。ニュースはこちら。
会場:大阪中之島美術館
会期:3月20日〜6月22日
GW中の休館日:なし
安藤忠雄は大阪に生まれ、独学で建築を学んだ。安藤が長年取り組んできた大阪都市再生プロジェクトの最前線である、グラングリーン大阪の新しい文化施設「VS.」で開催される本展は、「挑戦の軌跡」と「安藤忠雄の現在」のふたつのセクションを通して、その創造的冒険の歩みを一望するもの。前者では住宅から文化施設に至る過去の安藤の代表作、後者では「直島の一連のプロジェクト」のような長期スパンの作品から歴史的建造物の再生プロジェクト、社会貢献プロジェクトまで安藤の現在の仕事を一挙紹介する。詳細はニュースをチェック。
会場:VS.
会期:3月20日〜7月21日
GW中の休館日:4月28日
上村松園の生誕150年を記念し、数々の作品によってその画業をあらためて振り返る大回顧展。同時代に女性像を描いた鏑木清方や北野恒富などとは一線を画し、独自の理想を追求した松園。自ら美人画の系譜を切り拓き、女性画家の先駆者として後進の指針ともなった。会場では、《母子》、《序の舞》といった代表作をはじめ、初期から晩年までの100件を超える作品を展示。その魅力に迫るとともに、女性として初めて文化勲章を受章し、近代美術史に確かな足跡を残した松園芸術の真価を振り返る機会とする。展覧会レポートを公開中。
会場:大阪中之島美術館
会期:3月29日〜6月1日
GW中の休館日:なし
2022年からプレイベントを行ってきた「Study:大阪関西国際芸術祭」が、大阪・関西万博にあわせて本祭として開催される。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にあわせ、「人間とは何か。」を考察する内容になるという。ロン・ミュエク、パトリシア・ピッチニーニ、マウリツィオ・カテランらが、安藤忠雄の設計による大阪文化館・天保山(旧サントリー・ミュージアム)を会場にハイパーリアリスティックな彫刻作品を発表するほか、釜ヶ崎芸術大学、kioku手芸館 たんすを拠点に活動する「NISHINARI YOSHIO」が西成エリアを中心に参加する。ニュースはこちら。
会場:大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリア、松原市ほか
会期:4月13日~10月13日
※会場などにより会期が異なる
大阪・関西万博開催記念と大阪市立美術館のリニューアルを記念して開催される本展は、国や地域を超え日本文化への理解を深める契機となることを目指して開催。縄文時代の造形から仏教美術、中世の水墨画や桃山絵画、書跡や陶磁器など、幅広い時代と多様なジャンルの国宝作品約130点が一堂に集まる。
会場:大阪市立美術館
会期:4月26日〜6月15日
GW中の休館日:なし
奈良国立博物館では初めての大規模な国宝展。奈良博や奈良の歴史に関わりの深い国宝を中心に、未来の国宝ともいうべき重要作品など、日本が世界に誇る名品の数々を紹介。国宝約110件、重要文化財約20点を含む約140点の仏教・神道美術を展示する。
会場:奈良国立博物館
会期:4月19日~6月15日
GW中の休館日:なし
15年目の節目を迎える「瀬戸内国際芸術祭」は、春・夏・秋会期にわけて計107日間にわたって開催。今回から志度・津田エリア、引田エリア、宇多津エリアが新たに会場として加わるほか、直島では今春開館の直島新美術館も会場に。ジャッガイ・シリブート、プ・ジヒョン、雲門舞集ら21の国と地域から計63組のアーティストが参加。また新規にニュージーランドやスウェーデンと連携を図り、ニュージーランドからは「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ」で金獅子賞を受賞した「マタホ・コレクティブ」のメンバーでもあるサラ・ハドソンが参加する。さらに芸術祭の連携プロジェクトとして、開催地域の8つの美術館が日本人アーティストの展覧会を行う。ニュースはこちら。
会場:高松港、瀬戸内の島々と沿岸部
会期:4月18日〜5月25日(春会期)
※会場などにより会期が異なる
3月30日に鳥取県倉吉市に開館した鳥取県立美術館。初となる本展では、江戸絵画から現代美術まで、国内外の様々な作家100名以上によって制作された約180点の作品を「リアル」をキーワードに読み解く。出品作家は朝倉文夫、石内都、伊藤若冲、アンディ・ウォーホル、岡上淑子、ソフィ・カル、河原温、岸田劉生、草間彌生、イヴ・クライン、古賀春江、小早川秋聲、塩田千春、志賀理恵子、下道基行、リクリット・ティラヴァニ、ウォルフガン・ティルマンス、マルセル・デュシャン、舟越桂、森村泰昌、やなぎみわら。レポートを公開中。
会場:鳥取県立美術館
会期:3月30日~6月15日
GW中の休館日:なし
世界を舞台に第一線で活躍を続ける3人組の音楽ユニットPerfume。本展は、『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)を起点に、厳選した約180着の衣装を展示する。さらに、初公開となる型紙やデザインの発想源を示す制作資料も紹介。これまで大切に保管されてきたコスチュームを通じて、Perfumeの魅力をひもとく。
会場:広島市現代美術館
会期:2月22日〜6月1日
GW休み:4月28日
手塚治虫による医療マンガの金字塔『ブラック・ジャック』。同作の過去最大規模の展覧会である本展では、500点以上の原稿に加え、連載当時の『週刊少年チャンピオン』や1970年代に発行された単行本、200以上のエピソードの直筆原稿が展示される。また、『ブラック・ジャック』が描かれた時代に影響を受けた作品や、制作当時の関係資料、『ブラック・ジャック』の誕生秘話が解き明かされる証言映像なども多数紹介される。
会場:福岡アジア美術館
会期:4月26日〜6月22日
GW中の休館日:4月30日
「キティとわたし」の50年をテーマに、ハローキティだけが持つユニークさを紐解く展覧会。史上最大量のグッズ展示をはじめ、個性あふれるアーティストとのコラボ作品、オリジナル映像コンテンツなど様々なコーナーでそのユニークさをひもとく。
会場:沖縄県立博物館・美術館
会期:3月7日~5月11日
GW中の休館日:4月28日