水木しげる 妖怪道五十三次 京都 2023 © 水木プロダクション
上野の東京国立博物館・表慶館では、現代アーティストが描く浮世絵に焦点を当てた展覧会「浮世絵現代」が開催される。会期は4月22日から6月15日まで。
日本の木版画技術は、江戸時代に独自の発展を遂げ、当時の社会や風俗を映し出す華やかな芸術としての浮世絵を生み出した。東洲斎写楽や喜多川歌麿、葛飾北斎らの作品は、精緻な彫りと鮮やかな色彩が特徴であり、その卓越した技術は現代にも受け継がれ、いまなお多くの人々を魅了し続けている。
本展では、伝統木版画の表現に影響を受けた総勢85名のアーティストたちが、現代の絵師としてアダチ版画研究所の彫師・摺師と協働し、新たな「現代の浮世絵」を制作。参加作家には、水木しげる、楳図かずお、安野モヨコ、石ノ森章太郎、粟津潔、浅葉克己、佐藤晃一、松永真、田中一光、黒川紀章、靉嘔、和田誠、フンデルトヴァッサー、草間彌生、横尾忠則、田名網敬一、加藤泉、塩田千春、名和晃平、ロッカクアヤコ、花井祐介、李禹煥、アントニー・ゴームリー、キキ・スミス、N・S・ハルシャ、ニック・ウォーカー、ジェームス・ジーン、アレックス・ダッジ、KYNEらが名を連ねる。
本展は全4章で構成され、日本の伝統的な木版画と浮世絵の魅力を現代の視点で再発見する内容となる。第1章では、江戸時代の浮世絵制作における分業の仕組みに焦点を当て、漫画家、彫師、摺師が協力して作り上げた木版画の魅力を紹介する。
第2章では、木版画の素材や技法に注目し、葛飾北斎のデザインに影響を受けた4名のデザイナーの作品を通じて、その現代的な解釈と技術的なアプローチを解説する。
続く第3章では、1970年から2000年代にかけて伝統木版画の彫師・摺師とのコラボレーションを通じて新たな浮世絵の制作に取り組んだ作家の作品群を展示。そして第4章では、2010年代以降に国内外のアーティストが制作した「現代の浮世絵」に焦点を当てる。
なお、同館では、江戸をテーマにした展示が3月下旬から続々と登場する予定だ。「イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~(3月25日〜8月3日、同館特別5室)、「蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児」(4月22日~6月15日、同館平成館)、「江戸☆大奥」(7月19日~9月21日、同館平成館)の展示とともに、未来へと続く日本文化の豊かさを体験できる本展を楽しみにしたい。お得なセットチケットも限定販売される。