公開日:2024年5月24日

竹久夢二、幻の名画《アマリリス》を東京初公開!「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」6月から東京都庭園美術館で開催

会期は6月1日~8月25日。このたび発見された《アマリリス》、滞米中に描かれた貴重な油彩画《西海岸の裸婦》、スケッチ帖や素描など、初公開資料を含む約180点の作品を紹介

竹久夢二 アマリリス 1919(大正8)頃 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」が、東京都庭園美術館6月1日~8月25日に開催される。 「大正ロマン」を象徴する画家であり、詩人でもあった竹久夢二(たけひさ・ゆめじ)。1884(明治17)年に岡山県で生まれた夢二は、正規の美術教育を受けることなく独学で自身の画風を確立し「夢二式」と称される叙情的な美人画によって人気を博した。グラフィックデザイナーの草分けとしても活躍し、本や雑誌の装丁、衣服や雑貨などのデザインを手がけ、暮らしの中の美を追い求めた夢二の作品は、没後90年を経たいまもなお多くの人々を魅了し続けている。

竹久夢二 晩春 1926(大正15) 鉛筆・ペン・水彩、紙 夢二郷土美術館蔵
竹久夢二 化粧の秋(『婦人グラフ』表紙絵) 1924(大正13) 木版 夢二郷土美術館蔵

本展は、生誕140年を記念して、新たな視点からその生涯をたどる。このたび発見された《アマリリス》、滞米中に描かれた貴重な油彩画《西海岸の裸婦》、夢二を看取った友人に遺したスケッチ帖や素描など、初公開資料を含む約180点の作品を夢二郷土美術館コレクションを中心にご紹介。価値観が劇的に変化しつつあった20世紀前半に時代の立役者となった竹久夢二の魅力を堪能できる。

竹久夢二 西海岸の裸婦 1931~32(昭和6~7) 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

見どころは、すでに名声を確立していた大正中期に描かれ、長年行方不明であった油彩画《アマリリス》。1919(大正8)年に福島県での展覧会に出品された後、文人たちに愛された東京・本郷の「菊富士ホテル」の応接間を飾った。1944年のホテル閉館後所在不明となっていたが、近年の調査により発見され、昨年岡山県・夢二郷土美術館に収蔵された。本展は、発見後初めて東京で公開・展示される貴重な機会。《アマリリス》に加え、貴重な油彩画を多数展示し、あまり紹介されてこなかった油彩画家としての夢二の一面に迫る。

また、初公開される晩年のスケッチブックも見逃せない。1931(昭和6)年から約2年間、アメリカをはじめ、ドイツ、チェコ、オーストリア、フランス、スイスなど欧米各地を巡る旅に出かけた夢二。1930年代前半の欧米は、モダンな芸術と都市文化が発展する一方で、ナチズムが勃興する不穏な時代でもあった。友人の正木不如丘(まさき・ふじょきゅう)の手元に残された滞在中の出来事を描いたスケッチ帖を初めて公開し、晩年における夢二の足跡をたどる。

竹久夢二 セノオ楽譜〈恨まじ君をば〉 1924(大正13) 初版 夢二郷土美術館蔵
竹久夢二 封筒「つりがね草」 大正期 木版 夢二郷土美術館蔵

「あらゆる図案、文案、美術装飾」を請け負う「どんたく図案社」の企画や、生活と美術を結ぶことを理念とした「榛名山美術研究所」の建設など、生涯をかけて人々の暮らしを彩ることに関心を向け続けた夢二。1933(昭和8)年に朝香宮家の自邸として建設された場所である東京都庭園美術館本館は、生活空間に施された装飾が見所である。夢二と時代の空気を共有し、暮らしのなかの美を体現する邸宅空間の中で、夢二の作品世界を存分に楽しみたい。

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