ポール・セザンヌ わらひもを巻いた壺、砂糖壺、りんご 1890-1894 油彩・カンヴァス オランジュリー美術館 © GrandPalaisRmn (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
印象派とポスト印象派を代表するふたりの画家に焦点を当てた展覧会「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」が、丸の内の三菱一号館美術館で開催される。会期は5月29日から9月7日まで。
本展は、フランスのオランジュリー美術館が企画・監修した世界巡回展だ。昨年1月にミラノで開催され好評を博したのち、マルティニ、香港を経て東京に巡回。三菱一号館美術館は日本唯一の会場となる。オランジュリー美術館は、印象派やポスト印象派の名作を数多く所蔵している。とりわけ、画商ポール・ギヨームが築いたフランス近代美術の貴重なコレクションは、いまなお世界中の美術ファンを魅了し続けている。本展では、そのコレクションをもとに、計52点の作品が展示される。
フランス印象派の巨匠と称されるピエール=オーギュスト・ルノワール(1841〜1919)とポール・セザンヌ(1839〜1906)は、1874年の第1回印象派展に参加したが、両者はモネのように筆触分割を追求せず、形態を保ちながら独自の表現を模索した。20世紀初頭にも、両者を並べて論じられることが多かったという。
印象派やポスト印象派の作家を多く扱った画商であり、コレクターでもあったポール・ギヨームは、彼らの作品も積極的に収集した。ギヨームの死後、その遺志は妻ドメニカと再婚相手のジャン・ウォルターが引き継ぎ、コレクションはさらに拡充された。後にフランス政府によって買い取られ、現在ではオランジュリー美術館の中核を成している。
本展には、オランジュリー美術館のみならず、「印象派の殿堂」と称されるオルセー美術館からも代表作が集結する。ルノワールの《ピアノを弾く少女たち》、セザンヌの《画家の息子の肖像》、ピカソの《布をまとう裸婦》などの傑作に加え、ルノワールとセザンヌによる肖像画、静物画、風景画が展示される。約50点の代表的な作品を通じて、モダン・アートへの道を拓いたふたりの巨匠に迫る内容となる。
さらに、今秋に上野の国立西洋美術館で開幕する「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」展(10月25日~2026年2月15日)とのセット券も発売されるという。印象派ファンにとって見逃せない機会になりそうだ。詳細は5月中旬に公式ホームページで確認してほしい。