下瀬美術館
2024年に「世界で最も美しい美術館」としてベルサイユ賞を受賞した下瀬美術館。その受賞を記念した展覧会「周辺・開発・状況 ─ 現代美術の事情と地勢 ─」が、4月26日から7月21日まで開催される。
ベルサイユ賞は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の本部で創設された建築賞。2023年に開館した下瀬美術館の建物は坂茂の設計によるもので、広島県大竹市の海岸線と平行にエントランス棟、企画展示棟、管理棟が並び建つ。それぞれの建物が渡り廊下でつながっており、それらを長さ190mの「ミラーガラス・スクリーン」によって一体化した美しい外観が特徴だ。
本点は、同館初の現代美術展となり、チーフキュレーターに齋藤恵汰を迎える。コキュレーターを、松山孝法、李静文、根上陽子が務める。齋藤は、ミラーガラス・スクリーンによる美術館と周辺環境の一体化から思考を始めるとともに、造船開発の技術を使った可動展示室や、美術館の向かいに宮島を擁するという立地状況を踏まえ、それらに応答していく展示として構成。美術館と宮島の関係を出発点に、広島県と瀬戸内海の関係や、日本と東アジアの関係を再考するヒントを探れるのではないかと考えたという。
参加作家には東アジアにルーツを持つアーティストが集い、日本から遠藤薫、金理有、久木田大地、鈴木操、MADARA MANJI、韓国からオミョウ・チョウ、中国からジェン・テンイ、インドネシアからムハマド・ゲルリ、ミャンマーからソー・ユ・ノウェが参加。9組のアーティストとキュレーター4名はそれぞれ1980年〜2000年生まれで、海外を拠点とする4名の作家は日本の美術館で初の展示となる。