「Shibuya Upper West Project」外観イメージ Image by Mir, Copyright Snøhetta and NIKKEN SEKKEI LTD
現在休館中の「Bunkamuraザ・ミュージアム」が、東急百貨店本店(東京・渋谷)の跡地に建設される新施設に拡大移転することがわかった。
東急株式会社、L Catterton Real Estate、株式会社東急百貨店が出資を決定している渋谷西開発特定目的会社により、2023年1月31日を持って営業を終了した東急百貨店の跡地において進められている開発計画「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)。日本初進出となるホテルブランド「The House Collective」や賃貸レジデンスなどを擁する地上34階、地下4階の新施設が2029年度に竣工予定だ。地下1階から地上6階が商業施設となり、Bunkamuraザ・ミュージアムは7階に移転する。
移転するBunkamuraザ・ミュージアムは、「Shibuya Upper West Project」と同様にノルウェーの建築・デザイン事務所「Snøhetta(スノヘッタ)」がデザインを担当。複数の展示室から構成されるユニークなスペースの展示面積は約1000㎡、展示室の一部は最大約6mの天井高で計画されている。展示面積の拡大と最新の展示設備の導入により、幅広い分野の大型展覧会の開催が可能になる。移転後も、これまでBunkamuraザ・ミュージアムで開催してきた西洋近代美術、日本美術、写真、デザイン、ファッションなどの展覧会テーマを継承しつつ、現代アートなど、いま取り上げるべきアートを新しい切り口でキュレーションしていくという。
Snøhettaのコメント
新施設の7階に移転するBunkamuraザ・ミュージアムのデザインアーキテクトを務めることを光栄に思います。
本プロジェクトのデザインコンセプトは、渋谷の脈動するエネルギーを象徴する一筆書きのイメージからインスピレーションを得ています。このコンセプトは、地上から天空へと優雅に螺旋を描きながら上昇する渋谷の躍動感と興奮を表現しています。もう一つの渋谷エリアから次世代の文化を牽引する存在として構想された本プロジェクトでは、東京の新たなランドマークとして、自然と景観にも配慮した持続可能な文化複合拠点となることを目指しています。本プロジェクトのデザインは様々なプログラムやコミュニティを一筆書きのようにつなぎ、ミュージアムにおいてもリボンのような壁が複数の展示室を蛇行しながら、アートを愛する人々を誘います。オープンプランのデザインは、多様なニーズに応える柔軟な展示システムに支えられ、あらゆる芸術表現やパフォーマンスを可能にします。
新しいミュージアムのデザインにおける私たちのビジョンは、都市と空、近代と幽玄、過去と未来、デジタルとフィジカル、商業と文化といった二元性が融合する空間を創造することです。この融合が、異なるそれぞれの特徴をより際立たせ、本プロジェクトと渋谷全体の文化的環境が高まることを期待しています。
隣接するBunkamuraは劇場、映画館、コンサートホールを擁し、「Shibuya Upper West Project」では、ミュージアムの移転・開業をきっかけにBunkamuraとのさらなる融合の推進を目指す。1989年に開館した複合文化施設のBunkamuraは、東急百貨店本店の開発計画に伴い、2023年からオーチャードホールを除いて休館していた。休館中も渋谷を含め東急線沿線周辺施設や東急グループ各施設などで様々な企画や発信を行っている。