公開日:2023年10月28日

“検閲アート”だけの美術館。「Museu de l’Art Prohibit(禁止されたアートの美術館)」がスペインに開館し、《平和の少女像》も展示へ

美術館の内観 参照:公式ウェブサイト(https://tickets.museuartprohibit.org/en)より

10月26日、「Museu de l’Art Prohibit(Museum of Forbidden Art=禁止されたアートの美術館)」がスペインのバルセロナで開館した。いわば、抗議や検閲を含むなんらかの事情で展示が取りやめになった“検閲アート”を集めた美術館だ。

館をオープンしたのは、スペインの実業家タチョ・ベネト。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展で、抗議を受けすぐに開催中止となった「表現の不自由展・その後」出品作、キム・ウンソン&キム・ソギョンによる《平和の少女像》(2011)を購入した人物としても知られる。

公式ウェブサイトによると、ベネトが“検閲アート”コレクションをスタートしたのは2018年。アーティストのサンティアゴ・シエラがスペインにおける政治犯の問題を扱ったインスタレーション作品《Presos Políticos en la España Contemporánea(Political Prisoners in Contemporary Spain)》(2018)がアートフェア「ARCO」にて、ギャラリーの判断で出品取りやめにされたことが発端だった。ベネトは本作を購入し、以降5年間、検閲、上映中止、抗議を受けた作品を集め、美術館の構想を固めていった。

コレクションには、フランシスコ・デ・ゴヤ、グスタフ・クリムト、パブロ・ピカソ、アイ・ウェイウェイ、ロバート・メイプルソープ、タニア・ブルゲラいった誰もが知るアーティスト作品も含まれており、その数は200点におよぶ。

美術館の内観 参照:公式ウェブサイト(https://www.museuartprohibit.org/en/museum/building)より

美術館の建築は、スペインを代表する建築家のEnric Sagnier i Villavecchia(エンリック・サグニエール・イ・ベラベッキア)が20世紀初頭に設計建設し、もとは邸宅であったCasa Garriga-Noguésを活用し、面積は2000㎡。展示替えのスケジュールは明らかにされていないが、《平和の少女像》も現在展示されている。

開館時間は月曜日から日曜日の10:00〜20:00(12月25日から1月1日は休館)で、チケットは14ユーロ。13歳以下は無料で、14歳以上を対象とした教育プログラムも行っている。

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