学展の新プロジェクト「ANS.(アンス)」が始動。特別展示「UNKNOWN VISITORS」が国立新美術館で開催中

若い作家の活躍の場を広げてきた学展が始動させた新プロジェクト「ANS.」。その第1弾として8月21日まで開催中の学展特別展示「UNKNOWN VISITORS」の内容をお届け

左から岸裕真、芝田日菜、友沢こたお、星加曜、水野幸司

学生による油絵の振興などを目的に日本学生油絵会が主催し、70年以上の歴史を持つ公募展「学展」。幼児から大人まで幅広い年齢層に作品発表の場を提供し、若手の登竜門にもなってきた。近年では、公募展の役割に加え、受賞作品展での「ゲストアーティスト企画」の実施や大賞作品をパリの「サロン・デ・ボザール)」に出品するなど、若いアーティストの活躍の場を広げる企画を積極的に行ってきたが、今年2022年から新プロジェクト「ANS.(アンス)」がスタートした。

ANS.(アンス)は、Art + New + Senseの略称。主にアートやデザインを志す学生や若手作家を対象に、異領域で活動する人間同士がつながり、アイディアを共有できる場を提供し、新たなクリエーション創出の起点になることを目指している。

会場の友沢こたおと《slime CXXX》(2022)

岸裕真の《big chair (divided)》(2021)は、無数の椅子の形状データを解体し、テクスチャーを与えた立体作品

その第1弾の試みとして、学展特別展示「UNKNOWN VISITORS」が東京・六本木の国立新美術館で8月11日から21日まで開催されている。学展の第72回受賞作品展との同時開催で、特別展示のキュレーションは、第66回の大賞受賞者であるアーティスト水野幸司が担当した。出品作家は岸裕真、芝田日菜、友沢こたお、布施琳太郎、星加曜、水野の新進6名。会場は、水野が掲げた「接蝕」のキーワードを軸に、絵画や映像、音響などの多様な表現方法を用いた作品が一つの空間に並ぶ。

岸裕真の《big chair (divided)》(2021)は、無数の椅子の形状データを解体し、テクスチャーを与えた立体作品。芝田日菜の映像作品《影をみる》《水面に映る家》(2022)は、キノコをはじめ生物への関心から、身体の内部と外側の世界との関係性を主題に制作した。スライムが顔面を覆うようにかけられたイメージを通し抑圧される人間の内面を表現する友沢こたおの絵画《slime CXXX》(2022)、熱により画面が変色・変化するドローイングを人間の過去(歴史)のあり方に重ねた布施琳太郎の《  》(2022)。星加曜は頭部を模した黒い3つのオブジェとヘッドホンからなる立体・音響作品《不在の星々、瞑想の再生》(2022)、水野幸司は鯨への関心から制作したドローイングと詩の作品群《未明の声》(2022)を発表している。

星加曜は頭部を模した黒い3つのオブジェとヘッドホンからなる立体・音響作品《不在の星々、瞑想の再生》(2022)
水野幸司は鯨への関心から制作したドローイングと詩の作品群《未明の声》(2022)

水野幸司《未明の声》(2022)オブジェ
芝田日菜の映像作品《影をみる》《水面に映る家》(2022)は、キノコをはじめ生物への関心から、身体の内部と外側の世界との関係性を主題に制作した

勢いがある若手の鮮烈な個性に触れることができる「UNKNOWN VISITORS」展。作家による本展示をテーマとした討論の様子も学展の公式YouTubeチャンネルで公開されている。

左から芝田日菜、水野幸司、布施林太郎、星加曜

「第72回学展 アート&デザインアワード」「UNKNOWN VISITORS」

会期:2022年8月11日〜8月21日
会場:国立新美術館
開場時間:10:00〜18:00
休館日:火
https://gakutenjapan.com/



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