Why Art? とは、「アートってなんですか?」の質問に対する百人百様の回答を映像に収めたショートインタビュー。いまさら聞けない・いま知りたい・私たちの身近にある「アート」を明らかにしていくための企画だ。本記事では、今年インタビューを行った40組のなかから、10組の回答を紹介する。ほかのアーティストのインタビューなど、TABのYouTubeチャンネルもぜひチェックしてほしい。
東京国立近代美術館で大回顧展を開催した大竹伸朗は「アートとは、ずっと動き続けていて絶対に掴めないもの。そして、わかろうとするんだけど、絶対にわからないもの、というようなイメージ」とコメント。個展の開催を機に実施された、小池一子との対談もチェックしてほしい。
「もの派」の代表的な作家として知られる菅木志雄にとって、アートとは「『もの』を減らして無にしていくこと」だという。インタビューでは、2021年に岩手県立美術館で大規模個展を開催した菅の作家としての半生を尋ねた。
Yutaka Kikutake Galleryでの 「Neue Fruchtige Tanzmusik」、Akio Nagasawa Gallery Ginzaでの 「モレモレ東京」と、年末にかけて2つの個展を開催していた毛利悠子はアートを表現活動という言葉に置き換え、「誰もが表現活動を続けていくことが重要」と語った。
『性と芸術』(2022、幻冬舎)を刊行した会田誠は「アートは一応いちばん自由」とし、「いやらしいながらも美術史の文脈があることで、自由で、ばらけてしまうのをつなぎとめられている」と話した。
日本で初めてのオルタナティブ・スペースを創設した小池一子は「それ(アート)がわからないので、何十年もやっちゃったんじゃないでしょうか」と留意しつつ、「採れたての野菜みたいな、命に関わるような大事な創作もある」と話した。3331 Arts Chiyodaでの「オルタナティブ ! 小池一子展 アートとデザインのやわらかな運動」展にあたって行われたインタビューもチェックしてほしい。
森美術館での大回顧展「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」が大きな話題を呼んだ同グループ。映像ではアートに対して「飽きないもの」「人類のエキサイティングな遊び」「仕事」「Chim↑Pomとは何か」「この質問がアートじゃないことだけはわかる」「こういう質問は魂が削られる」と、メンバー6人がそれぞれ回答した。
イケムラレイコとの対話集の刊行や「あいち2022」への参加、大分県別府市での個展など、精力的に活動した塩田は、アートとは「わからないから探し求めているもの」と語り、「なくてはならないもの」と語った。
十和田市現代美術館で個展「口を寄せる」を開催中の百瀬は、アートが「矛盾が矛盾のままにいられる場所」と回答。過去作やその制作について語ったインタビューでも「矛盾について丁寧に考えてみることが大切」と述べた。百瀬のコメントも掲載された個展のフォトレポートもチェックしてほしい。
神奈川県立近代美術館 葉山での個展も記憶に新しいアレック・ソスは自身の学生時代を交えつつ、「世界と自分自身に対する探求であり、コミュニケーションの手段」と述べた。
「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2022~NEW SCALE~」に参加したレアンドロ・エルリッヒは「内省であり、コミュニケーションであり、限界を超え、境界を崩そうとするもの。未知のものを探求するものであり、創造的プロセスにおいて個人的なものから集団的なものになっていく体験そのものでもある」と語り、パンデミックによる影響や自身の作品も紹介しつつ、詳細に話してくれた。