セネガル生まれの若手作家モニラ・アルカディリの個展「The Tragedy of Self」が東京都が運営するオルタナティブスペーストーキョーワンダーサイト本郷で開催された。
この個展は同じく東京都が開催する公募「トーキョーワンダーウォール」の入選者100人から選抜された19人に個展を行わせるプロジェクト「TWS-Emerging」の一つである。
会場の中に入ると中性的な肖像の宗教画が薄暗い中に並べられている。話を聞くと全て作者のセルフポートレートなのだそうだ。
なぜ男性なのかというと、この作品の基本的なコンセプトはナルシシズムで、私にとってのナルシシズムは非常に男性的なナルシシズム。私が育ったアラビアの社会の中では男性はリーダー的な存在で、女性は目に見えないところにいて、自分も社会に出て偉い人になりたいという願望を、男性的なイメージとして持って、中世的な感覚をここで出したかった。(中略)多少皮肉めいたコンセプトではあります。(ビデオインタビュー後半)
生まれ育った男性中心の祖国への違和感、衝動があるからこそ他によく見かける”私的な作品”に留まることがなかったのだろう。一切社会に目を向けず、只々自己の世界にのめり込んでいく(ように感じる)”若手作家の個展”を多く観てうんざりしていたせいか、他者・社会の皮肉が混ざったこの展覧会は非常に新鮮だった。