8月10日、国立新美術館にて「第74回学展アート&デザインアワード」 受賞者表彰式が開催された。
表彰式には、幼少部から大学・一般部まで、幅広い世代の入賞者が参加。また作品審査を行った青木昭夫(DESIGNART代表)、ヒロ杉山(アーティスト)、牧正大(MAKI Gallery)、野路千晶(Tokyo Art Beat エグゼクティブ・エディター)の4名も出席し、審査報告や賞状授与などを行った。
式の冒頭では、第74回学展受賞作品展のコンセプト「世界を変えろ」をテーマとしたムービーを上映。ムービーには、審査員と各部門の受賞者が参加。審査員は『世界をよりよく変えるために、アートにできることは?』という問いへのアイディアをシェアし、受賞者には未来をイメージした絵を描いてもらった。
▼野路千晶(Tokyo Art Beat エグゼクティブ・エディター)
日々に追われていたり、経済的な懸念があったり、いろんなことで日々生活はフラットに、清らかな気持ちで過ごせないですよね。でもやっぱり自分の足元を見ることを大事に、絵を描くことが(自分にとって)本当に大切だったら、それはどんな状況であれ続けていただきたいです。まずは各々が自分に正直にいることが、結果的により良い社会につながるんじゃないかなと思います。
▼青木昭夫(DESIGNART代表)
子どもたちとか、(学展に)参加してくださっているみなさんも、日々気づいた足元にあるものをいかに注視して、「ちょっとこうなったらいいな」っていうのがあったら、素直に、良くしたいと思ったら動いてみる。どうしても人間って億劫になって、後回しにしちゃったりすると思うんですけど、そのアクションに対して素直になってみるということですかね。最初の第一歩を、「世界を変える」っていうのは、自分の身近なところにあると思いますね。
▼牧正大(MAKI Gallery)
平和な日本の立場をあらためて見直して、何を(世の中に)伝えたいのかということをきちんと整理しながら、なにか強烈メッセージというか、日本人としてなにか世界に訴えたいこと、何か感動させたいこと、それをアートを通して世界に発信していってもらえたら、アート界の大谷翔平選手が出てきて、何か世界を変えてくれるんじゃないかな。
▼ヒロ杉山(アーティスト)
想像力がとても大切だと思っていて。想像力っていうのはやっぱりこれをすると目の前にいるお友達が嫌な思いをするとか悲しい思いをするとか。これを言うと相手を傷つけちゃうとか。それ(に気づくこと)も想像力だと思うんです。それと同じように、これをすると外国が嫌な思いをするとか、そういうことも想像力ですし。やっぱり想像力を良くするのは、僕は絵を描くことだったり、物を作ること。イマジネーションを強くするっていうことだと思うので、アートとしてできること(は想像力を育むこと)なんじゃないかなって思っています。
▼受賞者が描いた未来のイメージについて
[小学部]
・どんな未来になっているかわからなかったので、いい未来とそうでない未来の両方
・未来には水がなくなっているかもしれない。人がずっと生きていけるように、水を作るロボット
・壊れない装置がついている自分の家。みんなと仲良くしたいので、そのなかでパーティーをしたい
[中学部]
・戦争などで地球が壊れてしまい、宇宙各地をみんなで旅しながら生活している
・魚などの生き物と人間が共生していける街
・ビルなどが雲の上まで大きくなったり、車が空をとんだり、芸術作品がビルとかにつくなどしてアートも身近にある世界
・人間が住まなくなって荒廃している地球
・今とあまり変わらずビルなどが少し増えた未来。川のなかにビルが立っているかもしれないし、空飛ぶくるまが日常的に使われているかもしれない
・未来も情報に溢れていて、人間がその情報に飲まれ、人間の姿かたちがわからなくなってきているイメージ
[高校部]
・高層ビルなどがいまよりも増えているイメージ
・天候は調整できるものになっている
・今は大人になるにつれて絵を描く機会が減ってきてしまうように思うが、仕事とかでも大人が絵を描く機会が増えている未来
・重力などを作って地球と同じようなものを構造できる未来
[大学・一般部]
・心の内面でお金も富もまわせるようになったら素敵な世界になるのではないかと思い、自分を宇宙に例えて描いた
・生物とAIの境目がなくなる未来
・気温が上がり続け人々は地下通路で移動してたまに地上に出てくる様な暮らし