コロナ禍を経て、2023年はブロックバスター展とも言われる大型企画展が再び大々的に開催される1年になりました。
Tokyo Art Beatに掲載した2023年開幕もしくは閉幕の展覧会・イベント数は約9000件。そのなかから、「ブックマーク」と「行った」のクリップ機能があるTokyo Art Beatのアプリとウェブログイン機能でのクリップの総数=点数として集計し、TABアプリユーザの関心度がもっとも高かった展覧会トップ30を紹介します。
ランキングとともに今年1年を振り返ってみましょう。
1位に輝いたのは、現在もっとも世界で愛され影響力のあるアーティストのひとりであるデイヴィッド・ホックニーの大規模個展。60年におよぶ大御所作家のキャリアを概観できるとあって、開催前から大きな注目を集めました。iPadを用いて制作された観客の身体を包囲するような巨大な《ノルマンディーの12か月》は圧巻。コロナ禍を過ごした鑑賞者の人々の琴線に触れるものとなっていたのではないでしょうか。
TABでもレポート、2本のレビュー、同館の楠本愛学芸員のインタビューを公開しました。
堂々の2位は「マティス展」。日本で約20年ぶりとなるマティス展で、パリのポンピドゥー・センターから150点が集まった。初期作から切り紙絵とヴァンス・ロザリオ礼拝堂まで、マティスの色彩の魔術をたっぷり楽しむことができた人が多いのではないでしょうか。
また2024年には国立新美術館で「マティス 自由なフォルム」展が開催されるので、こちらにも期待したい。
創設者クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術や庭園への愛、日本との関係などに焦点を当て、75年に及ぶディオールの歩みを歴代クリエイティブ・ディレクターの作品とともに紹介した本展。近年類を見ない豪勢な展覧会の演出と構成が話題を呼び、ファッションファンのみならず多くの人が駆けつけました。会期末はチケットが完売するなど大きな盛り上がりを見せた、今年を象徴する展覧会のひとつです。
イギリスのテート美術館コレクションから選りすぐった、18世紀末から現代までの約120点を展示した「テート美術館展」。歴史的に数々の芸術家たちが追い求めてきた「光」をテーマに据え、海外の各地を巡回してきた本展は、マーク・ロスコやゲルハルト・リヒターらによる12点の日本限定展示も行われた貴重な内容となりました。
昨年開催されたヴェネチア・ビエンナーレの日本館代表となったダムタイプの帰国展。今年亡くなった音楽家の坂本龍一さんもメンバーとして参加していました。
東京大学が持つ多くの学術標本を「レトロ・フュチュリズム」を標榜する様式で展示するインターメディアテク。その開館から10年、コンセプトを維持しつつ、常設展示の一部に変更が加えられました。展示標本の撮影が可能となったことで、また一層の人気スポットとなっています。
「爆発のアーティスト」こと蔡國強の個展。30年前に発表した「原初火球」を自身の芸術における原点=ビッグバンととらえ、その原点に迫る展覧会。蔡國強さんの日本における活動の軌跡や地域の方々との信頼関係が感じられるのも魅力でした。
1980年代後半以降、写真やイメージの創造の境界線を拡張する作品群を展開してきたドイツ人アーティスト、ヴォルフガング・ティルマンスの個展。その人気を改めて感じる結果となりました。
大竹伸朗の大規模な個展。国際展に出品した作品を含む約500点が一堂に会す、圧倒的なボリュームの展覧会でした。東京会場を経て、富山県美術館、愛媛県美術館にも巡回。
森美術館の開館20周年記念展。学校の科目を入口に、現代アートを通じて世界について学ぶ展覧会となりました。
同点10位は「エゴン・シーレ展」。シーレの初期から晩年までの絵画や、ウィーン世紀末の芸術家たちの作品が展示されました。
11位から30位までは以下の通り。充実した展覧会が多数開かれました。
2023年もTokyo Art Beatを活用し、展覧会をお楽しみください。
11位「大巻伸嗣―真空のゆらぎ」(国立新美術館)
12位「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館)
13位「ガウディとサグラダ・ファミリア展」(東京国立近代美術館)
14位「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」(麻布台ヒルズギャラリー)
15位「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」(国立新美術館)
16位「あ、共感とかじゃなくて。」(東京都現代美術館)
17位「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」(21_21 DESIGN SIGHT)
18位「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」(渋谷ヒカリエホール)
19位 野又穫 「Continuum 想像の語彙」(東京オペラシティ アートギャラリー)
20位「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」(国立西洋美術館)
21位「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」(寺田倉庫G1ビル)
22位「Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎」(東京オペラシティ アートギャラリー)
23位「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(アーティゾン美術館)
24位「インターフェアレンス」(銀座メゾンエルメス)
25位「杉本博司 本歌取り 東下り」(渋谷区立松濤美術館)
26位「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」(DIC川村記念美術館)
27位 今井俊介 「スカートと風景」(東京オペラシティ アートギャラリー)
28位「モネ 連作の情景」(上野の森美術館)
29位「ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台」(東京都現代美術館)
30位 ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(...」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)