ハギハラ・トシサト「ランドスケープと拳銃」

終了しました

ハギハラトシサトのペインティングは、不思議である。よくできたランドスケープは、一見、実在する風景のようだ。が、実はこの世のどこにも存在しない。下書きもなしに、いきなりキャンバスに油絵具で思ったとおりの線を引き色を置く。実在していないのだから写真を参照することもないし、また、よくあるように写真の断片を組み合わせることもしない。イメージとしての風景をただひたすら出現させていく。だから完成した作品は、火星とか金星とか、あるいは何億光年彼方のまだ知らぬ惑星のどこかにも見えるし、ジュラ紀や白亜紀の地球のどこかのようにも見える。そして、実際はいずれでもない。何処なのか？

そこは彼の心の内側。その意味では抽象画に近い。もしかすると作家には風景を描いている自覚すら希薄かも知れない。ここに私は最新の量子物理学に通じるある種の奇跡的な現象を見る。
また、今回の個展では、普段、CGで制作しているイメージをあえてキャンバスに描いていただくようにお願いしてみた。どこにもない風景と、CGを再現する実験絵画、どちらも秀逸だ。

レセプション・パーティー　5月3日（木）17:00より

スケジュール

2007年5月1日(火)〜2007年5月13日(日)