佐伯 俊男 《大首》 1988 Ink on paper, colormarker on tracingpaper H30 x W39.4 cm H62.7 x W46.7 x D2.4 cm (framed)

佐伯俊男 展

NANZUKA UNDERGROUND
4月4日開始

アーティスト

佐伯俊男
この度、NANZUKAは佐伯俊男の個展を開催いたします。本展は、2018年に当ギャラリーで実施した生前最後の個展以来、日本国内では7年ぶりの開催となります。

佐伯俊男(1945-2019)は宮崎県で生まれ、幼少期を大阪で過ごし、1969年に上京。翌年、平凡出版(現:マガジンハウス)発行の男性向け週刊誌『平凡パンチ』でグラビア数ページが掲載され、デビューを果たしました。1970年に処女作品集『佐伯俊男画集』(アグレマン社)を発表。エロス、ユーモア、ホラーを織り交ぜた独特の作風で寺山修司や澁澤龍彦らの賞賛を呼び、さらに、1972年にはジョン・レノンとオノ・ヨーコのアルバム『Sometime in New York City』のジャケットに使用されるなど、瞬く間に国内外で熱狂的に受け入れられました。

佐伯の作品は、現代の春画や妖怪画と評され、日本のアンダーグラウンドシーンのイラストレーションという文脈だけに留まらず、世界各国で展示されています。2019年にはJeffrey Deitchでのグループ展「Tokyo Pop Underground」、2024年にはリトアニア国立美術館での「Beauties, Ghosts and Samurai」展にも出展するなど、死後もなお日本文化と歴史の特異性を体現する作家として、その存在感を強め続けています。

佐伯は、キャリアの中でも最初の年、1970年が特に印象的だったと後年語っており、大阪万博が高度経済成長を祝ぐ一方で、学生運動、サイケデリックポスター、アングラ演劇、ピーコックファッション、フォーク集会、東映任侠映画などの社会現象、風俗文化が交錯していた当時の東京を回想しています。こうした時代精神と佐伯自身の作風が呼応していたことが伺えます。

同時に、1970年当時にはすでに表現の自由を巡る闘いが繰り広げられており、佐伯の作品を扱った出版社が警視庁から警告を受けるなど、社会的に断罪されたエピソードも数多く残されています。文化の中で長らくタブー視されてきた性的表現は、近年ではますます「不快感」という一面的な尺度で測られることが増え、美的・歴史的な価値や、政治的・社会的に何が本当に望ましいのかといった問題が議論の外に置かれることが多い現代社会において、佐伯の作品はその風潮に一石を投じるものでもあるといえるでしょう。

佐伯の作品が持つブラックユーモアとエロスの要素は、あらゆる性的タブーを露わにすることで、私たちの内面をえぐる刺激的な仕掛けに満ちあふれています。その作品が、必ずしも好色的な視線に偏って描かれているわけではないことは、内在する様々なカタチの愛と欲望を素材に紡ぎあげられた高い文学性によって明らかです。また、技法の面で佐伯の作品を芸術たらしめているのは、その「線」の表現です。近年、佐伯の「線」はフランス語圏のコミック、バンド・デシネに見られる「リーニュ・クレール(”明快な線”の意)」を彷彿とさせると評されることもありますが、深遠で叙情的な主題を、一見シンプルでありながらも計算された「線」によって絶妙の境界を捉えることで、独自の夢幻的な世界観を築き上げていることに気づかされます。

本展では、70年代から80年にかけて佐伯が描いたオリジナル作品を展示いたします。

本展を皆様にご高覧いただけますと幸いです。

本展に関連し、作品集およびED.作品を4月4日より当ギャラリーおよびNANZUKA Online Storeにて数量限定で販売予定です。
本展には、性的、暴力的な表現を含む作品が含まれております。そのため、ギャラリー2Fへのご入場は16歳未満の方にはご遠慮いただいております。また、これらのテーマに敏感な方、ご不安を感じる方は、鑑賞をお控えいただくことをお勧めいたします。なお、同時開催の「鬼海弘雄 個展」(ギャラリー1F)には年齢制限はございませんので、どなたでもご入場いただけます。

スケジュール

2025年4月4日(金)〜2025年5月2日(金)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
日曜日、月曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://nanzuka.com/ja/exhibitions/toshio-saeki/press-release
会場NANZUKA UNDERGROUND
http://www.nug.jp
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-30-10
アクセス東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩8分、JR山手線原宿駅竹下口より徒歩10分
電話番号03-5422-3877
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