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冬野虹 「油彩を中心に」

ヒノギャラリー
終了しました

アーティスト

冬野虹
ヒノギャラリーでは2024年5月20日(月)より「冬野虹展~油彩を中心に」を開催いたします。

冬野虹(1943~2002)は絵画のみならず、俳句、自由詩、短歌、散文、歌詞といった多様なジャンルで才能を開花させた、特異な芸術家でした。交流の範囲も広く、画家の中西夏之、詩人の吉岡実、俳人の永田耕衣、歌人の塚本邦雄などさまざまな分野の一流の芸術家たちから才能を認められてきました。
今回は彼女の作品より、初期の油彩画6点と後期の素描十数点を展示する予定です。

多様な形式で表現を行いながらも、冬野の思索の中心につねにあったのはダンスへの関心だったと思われます。今回展示される油彩の中でも最初期の作品である「夜」「夜・扉」には、いずれも踊る人体に着想を得たと思われる形象を見ることができ、また素描の中にも踊る女性のテーマがしばしば見いだされます。これは、彼女に多大な感化を与えた8歳年上の姉が、モダン・ダンスの踊り手であったことが反映していると言えるでしょう。姉は舞踊家としてすぐれた素質を示しながらも33歳で早世。冬野の芸術はある意味で姉への思慕と鎮魂が動機となって制作されてきたとも考えられます。
ダンスへの関心の帰結として、冬野の作品は動的であるという特徴を持ちます。魚は泳ぎ回り、凧は空を飛び、壜や食器ですら何やら動き出しそうな気配を示します。彼女の芸術は写実的であるよりも、ダンスの舞台における儀式的なものを表現することのほうに力点が置かれていると評されています。

冬野の芸術のもう一つの傾向として、文学作品からインスピレーションを取得しているということが挙げられます。油彩「ガラスの動物園」はテネシー・ウィリアムズの同名の戯曲から着想を得たものです。彼女の場合、絵画は文学の絵解きにはなっておらず、タイトルと図柄との結びつきは必ずしも明確ではありません。油彩「ロバの耳」はミダス王の耳がアポローン神によってロバの耳に変えられてしまったというギリシャ神話から表題を採ったものですが、画布上に耳が描かれているわけではありません。ただ、ミダス王には「触れるものがすべて黄金になってしまった」という伝説もあり、彼女にしては珍しくこの絵でイエローを全面に使用しているのは、黄金の寓意かもしれません。

冬野虹の展覧会はこれまで2018年に素描展を開催したのみで、油彩を含めた彼女の美術作品を広範囲に展示するのは今回が初めてとなります。

この5月、冬野虹の書籍が2冊刊行されます。『ロバの耳――冬野虹画集』と『編棒を火の色に替えてから 冬野虹詩文集』(ともに素粒社)です。これらの書籍と合わせて彼女の世界を理解するまたとない機会となりますので、ぜひお立ち寄りください。

スケジュール

2024年5月20日(月)〜2024年6月1日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
土曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttp://www.hinogallery.com/2024/3162/
会場ヒノギャラリー
http://www.hinogallery.com
住所〒104-0042 東京都中央区入船2-4-3マスダビル 1F
アクセスJR京葉線・東京メトロ日比谷線八丁堀駅A2出口より徒歩3分、東京メトロ有楽町線新富町駅7番出口より徒歩3分
電話番号03-3537-1151
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