左上から時計回りに、杉本博司、アルフレド・ジャー、大小島真木、嶋田美子、エマニュエル・ムホー、奈良美智、菅実花、横尾忠則
Why Art? とは、「アートってなんですか?」の質問に対する百人百様の回答を映像に収めたショートインタビュー。いまさら聞けない・いま知りたい・私たちの身近にある「アート」を明らかにしていくための企画だ。本記事では、今年インタビューを行った31組のなかから、10組の回答を公開日順に紹介する。ほかのアーティストのインタビューなど、TABのYouTubeチャンネルもぜひチェックしてほしい。
2023年2月まで、府中市美術館で公立美術館では11年ぶりの個展「諏訪敦『眼窩裏の火事』」を行った諏訪敦。現代アートを「怪物的なジャンル」だと前置きしたうえで自身が描いてきた満州難民のシリーズに触れ、「アートはわからないものをわからないままで提示できるもの」だと回答した。3分のインタビューだが、諏訪の思考のエッセンスに触れられる内容になっている。
2023年4月に個展「おまえが決めるな!」(オオタファインアーツ)を行った嶋田美子は、作品とは矛盾を含み、観客の読み解き方を含めてアートが初めて成立するものであり、「アートはディスカッションが始まる場である」と定義。動画のなかで尊敬するアーティストとして挙げた2名のうち、中村宏の動画インタビューも公開中。
2023年、じつに4年ぶりのオールナイト開催となった毎年恒例の人気イベント「六本木アートナイト」。出品作家のエマニュエル・ムホーは、アートは人々の心を動かし、見た人の体全体にエネルギーが降り注ぎ、心が踊り出すような気持ちになるものだと回答。ムホーの作品そのものを思わせる回答になっている。
「六本木アートナイト」からは、出品作家のひとりである大小島真木も登場。医術が病を治すための術なのに対して、「アートは病とともに生きるための術である」とコメントした。同じくアートナイト出品作家である栗林隆のインタビューも公開中。
2023年、gallery10[TOH]で個展「シスターフッド」を行った菅実花は、アートについて良いと思う2つのポイントを回答。1つは、時代を超えやすいメディアであるということ、2つは、いま現在当たり前だと思われていることが過去や未来においてそうではなくなることを提示できることだと述べた。
2023年9月、アーティゾン美術館で個展「ジャム・セッション 石橋財団×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」を行った山口晃は、「アートはアートだけでは存在できない」と回答。「もうちょっと悪あがきをしてみようと思う」と笑顔で締めくくった。ロングインタビューの前後編もぜひチェックしてほしい。
アートとは「生きる意味」か「仕事」、そして「生きるための仕事」だと答えたのは、渋谷区立松濤美術館で個展「杉本博司 本歌取り 東下り」を開いた杉本博司。自分はなぜ生まれ、自然界の中で人間は何かという疑問についてなど、約8分にわたって語った。
「Why Art?」シリーズの中で2023年12月現在もっとも見られたインタビューが、奈良美智の登場回。アートはいつも普通にそこにあるものであり、「アートはそれだけで区切るものではなくほかのものと一緒になって共存してるなかで必要不可欠」だとコメントした。青森県立美術館での個展「奈良美智: The Beginning Place ここから」は2024年2月25日まで開催中。
2023年10月、東京オペラシティ アートギャラリーで個展「石川真生 ─私に何ができるか─」を行った石川真生の回答は、力強いメッセージとユーモアと本人の魅力に溢れたもの。写真は人生すべてであり「倒れるギリギリまで写真を撮り続ける」と語った。
2023年は、東京国立博物館 表慶館での個展「横尾忠則 寒山百得」展のほか、2冊の著書を発表するなど、87歳の現在も精力的な活動に繰り広げる横尾。アートとは何か「考えたことがない」と前置きしたうえで、アートは人生であり生き方だと回答した。