公開日:2023年7月13日

【2023年】夏休みに見たい展覧会まとめ全国編17選

大巻伸嗣、アレックス・ダ・コルテ、中園孔二らの個展や、民藝、アニメ背景美術、前衛写真、ジブリなど。夏休みに訪れたい全国の注目展覧会を紹介。

左より「Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄」(金沢21世紀美術館)、「アニメ背景美術に描かれた都市」(谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館)、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(京都市京セラ美術館)

夏休み期間に訪れたい注目展覧会をピックアップ。東京を中心に関東の展覧会を紹介する。気になる展覧会はウェブ版でのログインTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。

*会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。

東京・関東編はこちら

大巻伸嗣ー地平線のゆくえ(弘前れんが倉庫美術館、青森)

青森県の弘前れんが倉庫美術館では、大巻伸嗣の個展が開催中。大巻は、空間全体をダイナミックに変容させ、観る人を異世界に誘うような幻想的なインスタレーションやパブリックアートを手がけてきた。本展では、近年の代表作のひとつ「Liminal Air Space-Time」シリーズを筆頭に、新作インスタレーションが紹介される。

会場:弘前れんが倉庫美術館
会期:4月15日〜10月9日

美しいHUG!(八戸市美術館、青森)

同じ青森県内に所在する八戸市美術館では、「美しいHUG!」と題されたグループ展が開催されている。本展は、同館が掲げるコンセプト「出会いと学びのアートファーム」を体現する企画として、様々な立場の人が、作品を通じてハグをするように出会うことを試みる。ゲストキュレーターは森司。参加作家は青木野枝、井川丹、川俣正、きむらとしろうじんじん、黒川岳、タノタイガの6名だ。

会場:八戸市美術館
会期:4月29日~8月28日

劉建華(リュウ・ジェンホァ) 「中空を注ぐ」(十和田市現代美術館、青森)

劉建華(リュウ・ジェンホァ、1962-)は中国における経済や社会の変化をテーマに、土や石、ガラス、陶磁器などを使って立体作品やインスタレーションを制作してきた。本展では、ペットボトルや靴などの日用品を磁器で制作した《Discard》や瓶や壺の口と首の部分だけを切り取った最新作《Porcelain Tower》など、初期から近年までの多様な作品が並ぶ。

会場:十和田市現代美術館
会期:6月24日~11月19日

Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄(金沢21世紀美術館、石川)

2019年のヴェネチア ・ビエンナーレによって世界的に名が知られるようになった注目の米国出身アーティスト、アレックス・ダ・コルテ。アジアの美術館では初となる大規模個展が開催中。ディズニー・キャラクターを始めとする誰もが知っているポップ・アイコンからデュシャンなどの著名アーティストまで、様々なイメージから着想を得て作られた映像インスタレーションは圧巻だ。詳細はレポートをチェック。清水知子によるレビューも合わせて読んでほしい。

会場:金沢21世紀美術館
会期:4月29日〜9月18日

アニメ背景美術に描かれた都市(谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館、石川)

本展は、1980年代末から2000年代初頭にかけて制作された日本を代表するSFアニメーション作品の背景美術に焦点を当てる企画。緻密な手書きの背景美術はもちろん、それらを描くために参照された書籍やロケハン写真、クリエイターへのインタビューなどが公開される。紹介されるアニメーションなど、詳細はニュースをぜひチェックしてほしい

会場:谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館
会期:6月17日〜11月19日

「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容(新潟市美術館)

本展では、4人の作家を手がかりに、昭和期日本の写真表現が紹介される。写真におけるシュルレアリスムを説いた瀧口修造、瀧口とともに「前衛写真協会」を設立した阿部展也、ふたりに魅了され「なんでもない写真」というシリーズを手がけた大辻清司、大辻の愛弟子である牛腸茂雄。昭和という時代のなかで、4人の作家が作り上げた「前衛」に迫る。千葉市美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック

会場:新潟市美術館
会期:7月29日〜9月24日

吹けば風(豊田市美術館、愛知)

本展タイトルの由来は、明治生まれの詩人・高橋元吉が詠んだ詩の「咲いたら花だった 吹いたら風だった」という一節。普段は見過ごされ、忘れられてしまうような細やかな発見や驚きを見つめ直すというコンセプトのもと、川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司の作品が公開される。4名とも、80年代後半から90年代前半生まれの作家であることにも注目だ。

会場:豊田市美術館
会期:6月27日~9月24日

日根野作三展(三重県立美術館)

日根野作三は、三重県伊賀市出身の陶磁器デザイナー。東京高等工芸学校で学んだ後、国立陶磁器試験所でデザイナーとして活躍。第二次大戦後に独立すると、東海地方などの陶業地を巡り、デザインの指導と普及に努めた。本展では、作品や資料をもとに日根野の生涯をたどる過去最大規模の回顧展。作り手や地域の多様性を活かした、人間味あふれるデザインに注目したい。

会場:三重県立美術館
会期:7月1日〜9月24日

ホーム・スイート・ホーム(国立国際美術館、大阪)

「ビター」な社会が続くなかで、国立国際美術館は「ホーム・スイート・ホーム」を問いかける展覧会を企画した。紹介されるのは、アンドロ・ヴェクア、竹村京ら国内外で活躍する現代美術作家8名による作品。作品を通して歴史や記憶、アイデンティティなどのキーワードを示し、家や国、家族、コミュニティといった「ホーム」にアプローチする。

会場:国立国際美術館
会期:6月24日〜 9月10日

Parallel Lives 平行人生 — 新宮晋+レンゾ・ピアノ展(大阪中之島美術館)

大阪中之島美術館では、新宮晋とレンゾ・ピアノの二人展がスタート。風・光・水をテーマに、自然のエネルギーの力で動く造形作品で知られる新宮晋に対して、レンゾ・ピアノはポンピドゥー・センター、銀座メゾンエルメスなど名だたる建築をデザイン、設計してきた。ともに1937年生まれのふたりは、関西国際空港旅客ターミナルビルの国際建築コンペで出会い、以降数多くのプロジェクトで協働してきた。本展では、模型やプロトタイプが展示されるほか、インタラクティブ作品を手がけるイタリアのグループ、 スタジオ・アッズーロによる、彼らのスケッチや設計図、写真をコラージュした映像も投影される。詳細はニュースをチェック

会場:大阪中之島美術館
会期:7月13日~9月14日

民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある(大阪中之島美術館)

新宮晋とレンゾ・ピアノの二人展が開催される大阪中之島美術館では、民藝を「衣・食・住」をテーマにひも解く展覧会もスタート。産地やそこで働く作り手の紹介も交えつつ、暮らしで用いられてきた民藝品を、約130件公開する。さらに、現在の民藝ブームに大きく寄与してきたテリー・エリスと北村恵子(MOGI Folk Artディレクター)によるインスタレーションも展示。柳宗悦が説いた民藝の、いままでとこれからの展望を試みる。

会場:大阪中之島美術館
会期:7月8日〜9月18日

ルーヴル美術館展 愛を描く(京都市京セラ美術館)

ルーヴル美術館の名品が京都へ。本展で公開されるのは、膨大なルーヴル・コレクションからセレクトされた、「愛」をモチーフとする作品たち。18世紀フランス絵画の至宝ともいうべきジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》、フランス新古典主義の傑作であるフランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》をはじめ、74点の名画が揃う。詳細はニュースを、国立新美術館での展示風景はフォトレポートをチェックしてほしい。

会場:京都市京セラ美術館
会期:6月27日~9月24日

聖地 南山城ー奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―(奈良国立博物館)

南山城(みなみやましろ)とは京都府の最南部、奈良県に隣接する地域のこと。奈良時代から江戸時代にいたるまで、日本仏教の中心地として様々な出来事の現場となった。浄瑠璃寺九体阿弥陀像の修理完成を記念する本展では、仏像や神像を中心に、地域の寺社に伝わる絵画や典籍・古文書、考古遺品などが公開される。

会場:奈良国立博物館
会期:7月8日~9月3日

ジブリパークとジブリ展(山口県立美術館)

昨年11月、愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にジブリパークが開園し、話題を呼んだ。本展は、そのジブリパークの制作現場を指揮した宮崎吾朗の仕事と作品を振り返る展覧会。長野県立美術館での展示の様子を収めたフォトレポートはこちら。なお、本展は事前予約制のため、訪れる際は事前にウェブサイトをチェックしておきたい。

会場:山口県立美術館
会期:7月15日~9月24日
事前予約制

中園孔二 「ソウルメイト」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川)

見る者に鮮烈な印象を与える絵画を、多彩なバリエーションで制作した中園孔二(1989〜2015)。中園は東京藝術大学卒業後、関東を拠点に制作活動を行ったのち、2014年に香川県に移住したものの、翌年生涯の幕を閉じた。本展では、過去最大規模の個展として約200点の作品が一堂に集結。彼が見ていた「一つのもの」に迫る。フォトレポートはこちら

会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:6月17日~9月18日

上田薫展(高松市美術館、香川県)

上田薫は生卵やゼリーなど身近なモチーフを、独自のリアリティを持って描き出す画家。抽象画家として作家活動を始めた上田は、グラフィックデザイナーとして活躍した後、再び絵画制作に回帰。以降、写真を使って対象を精巧に描き出す独自の写実表現を追求してきた。本展では、モチーフを拡大した代表的な油彩画はもちろん、大学時代に描いたデッサンや初期の抽象絵画も展示される。

会場:高松市美術館
会期:7月15日〜9月18日

朝倉文夫生誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在(大分県立美術館)

日本の近代彫刻を牽引した朝倉文夫(1883-1964)の個展が、出身地である大分県でスタート。猫の作品を中心にその創作を振り返る。朝倉の彫刻に加えて、大分を拠点に活躍する美術家・安部泰輔と、絵本作家/美術家のザ・キャビンカンパニーの作品も展示される。

会場:大分県立美術館
会期:6月9日~8月15日

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。