公開日:2023年8月10日

【2023年猛暑】ひんやり気分を味わえる東京近郊の展覧会7選。フィンランドグラスから妖怪まで

展覧会でクールダウン。この夏開催されている東京・千葉の展示を紹介。

左上から時計回りに、「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」(東京都庭園美術館 撮影:西野正将)、「Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト 印象派” POST-IMPRESSIONISM」(日本橋三井ホール)、「怪談物のつくりかた - 役者の芸と仕掛けの世界 -」 (伝統芸能情報館)、「湖の秘密-川は湖になった」(市原湖畔美術館)

フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン(東京都庭園美術館)

イッタラをはじめ、近年人気の涼やかなフィンランドのアートグラス。東京都庭園美術館では、その歴史に焦点を当てた展覧会が開催中。「アートグラス」とは、1917年にロシアから独立し国家としてのアイデンティティを取り戻すことを目指したフィンランドで作られた、芸術的志向の高いプロダクトのこと。1930年代の台頭期から50年代に始まる黄金期、そして現行のデザイナーが手がけた優品約140件を通して、フィンランド・グラスアートの系譜をたどる。同館学芸員の吉田奈緒子がその魅力を語るこちらの記事もぜひチェックしてほしい。

会場:東京都庭園美術館
会期:6月24日~9月3日

海 - 生命のみなもと - (国立科学博物館、東京)

夏と言えば海! 国立科学博物館では、「海」の誕生から現在、そして未来へとつながる展覧会が開催中。展覧会は4章構成。起源に迫る「海と生命のはじまり」、日本列島周辺の海洋を解説する「海と生き物のつながり」、水産資源に留まらない様々な「海からのめぐみ」、今後のあり方を考える「海との共存、そして未来へ」と展開する。

会場:国立科学博物館
会期:7月15日~10月9日

Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト 印象派” POST-IMPRESSIONISM(日本橋三井ホール、東京)

快適な展示空間のもと、近代絵画を「体験」したければ本展がおすすめ。昨年の印象派に続き、ポスト印象派の作品がデジタル技術による没入型体験コンテンツとして再構成された。日本橋三井ホールで、壁面や床にプロジェクションされたゴッホやゴーギャン、スーラ、セザンヌなどの絵画を楽しみたい。

会場:日本橋三井ホール
会期:7月7日~10月29日

怪談物のつくりかた - 役者の芸と仕掛けの世界 - (伝統芸能情報館、東京)

おばけや妖怪でひんやり気分を味わうのもおすすめ。怪談物とは、つくりもののおばけを役者が演じ観客を怖がらせる芝居のこと。本展は、観客席からは知りえない怪談物の制作過程を紹介。役者絵、手品に関する古文献コレクション「緒方奇術文庫」「山本奇術文庫」の珍しい品々や、現在も舞台で使われている道具や模型などが出展される。国立劇場の関連施設ならではの豊富な資料展示にも注目したい。

会場:伝統芸能情報館
会期:4月22日~8月20日

クワクボリョウタ《コレクションネット》(千葉県立美術館)

千葉県立美術館では、電子機器を用いたメディア・アートで知られるクワクボリョウタの個展が開催中。クワクボは本展にあたって、千葉県を地理、自然、産業、文化などの面からリサーチ。「チバニアン」の地層や伊能忠敬、落花生などの名産品など、千葉県の特徴をもとに、「房総の海」をテーマとした新作が公開される。

会場:千葉県立美術館
会期:7月19日~9月18日

江戸の妖怪絵巻(国立歴史民俗博物館、千葉)

妖怪に関する展覧会をもうひとつ紹介しよう。国立歴史民俗博物館で開催中の本展は、江戸時代の妖怪をモチーフとした絵巻を公開。妖怪は江戸時代、描き手の想像力を刺激しブームを起こしたという。妖怪たちのパレードを描く「百鬼夜行絵巻」や妖怪たちを図鑑のように並べた「化物絵巻」、源頼光と四天王らによる土蜘蛛退治を描く「土蜘蛛草子」など、多彩な妖怪図に注目したい。

会場:国立歴史民俗博物館
会期:8月1日~9月3日

湖の秘密-川は湖になった(市原湖畔美術館、千葉)

市原湖畔美術館では、市原市を流れる養老川と、同館のそばのダムのために建てられた高滝湖をめぐる展覧会が開催。出展作家は岩崎貴宏、大岩オスカール、尾崎悟、加藤清市、菊地良太、南条嘉毅、松隈健太朗、椋本真理子。異なるメディア8名の作家による、サイト・スペシフィックな作品が公開される。

会場:市原湖畔美術館
会期:7月15日〜9月24日

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。