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中西敏貴 「地と記憶」

IG Photo Gallery
終了しました

アーティスト

中西敏貴
IG Photo Galleryでは2023年12月5日(火)より中西敏貴展「地と記憶」を開催いたします。
中西敏貴は1971年、大阪生まれ。独学で写真を習得し、自然風景写真の分野で高い評価を受けてきました。2012年に年には北海道美瑛町に移住。北海道の風景を主題とした写真集を刊行してきました。今回の作品は自然風景写真で積み重ねてきたキャリアをもとに、考古学、文化人類学を視野に入れた作品です。

テーマはオホーツク人。一般にはあまり知られていませんが、5世紀から9世紀まで北海道北部の沿岸部分に暮らしていた海洋漁猟民族です。同様の文化は南千島、樺太の沿岸部にも見られ、海を渡って狩猟文化を育て、交易を行っていました。オホーツク人は歴史の表舞台から姿を消しましたが、近年の研究でアイヌ民族と共通するDNAを持つことが明らかになっています。
中西は北海道の撮影を続けるうちに、オホーツク人の遺跡が北海道北部に数多く遺されていることを知って関心を持ち、撮影を始めました。研究者の協力を求めてオホーツク文化についての知見を深めるとともに、はるか昔に存在した民族の痕跡をどのように写真で表現するかを模索してきました。

写真には「過去」は写せません。しかし、写真史を振り返ると、写真家はすでに終わってしまったもの、過去に属するものから想像力を刺激する作品を制作してきました。
たとえばアンセル・アダムス(1902-1984)。アメリカの国民的風景写真家として知られるこの写真家は、ヨセミテをはじめとするアメリカの大自然に魅せられ、神々しいまでの力強い風景写真を撮影しました。また、自然保護運動の活動でもよく知られています。

彼の作品の中に先住民族のナヴァホ族が遺した遺跡が含まれているのです。
「ホワイトハウス遺跡」はその一つです。アダムスは先住民族であるナヴァホ族の歴史や文化に興味を向け交流しました。アダムスは自然風景を撮影するだけでなく、その土地が持つ歴史や文化についても関心を持っていたのです。
また、アダムスは「ホワイトハウス遺跡」が過去にも撮影されていたことに気づきました。19世紀の写真家、ティモシー・H・オサリバン(1840-1882)が西部開拓団に同行し撮影してたのです。アダムスとオサリバンの写真はよく似た構図で撮影されていますが、その2枚の写真には当然のことながら時の隔たりがあります。私たち人間のタイムスケールとは異なる世界を描くには、何世代にも渡る撮影が必要なのです。中西の作品もまた、長い時の流れの一部になっていくことでしょう。

アンセル・アダムスはナヴァホ族と交流することができましたが、オホーツク人はすでに存在しないため、その文化を知るには遺されたものに目を向けるしかありません。中西はオホーツク人の遺跡がどのような自然環境にあるかに着目し、自然から得た恵みを糧にしていた彼らの姿を現代の風景の中に見いだそうとしています。
写真には見えるものしか写っていません。しかし私たちは見えるものを手がかりに想像することができます。ともすれば「現在」と「未来」に興味が集中しがちな現代の私たちにとって、中西の作品は、遠い昔にあった文化について想像の翼を広げるきっかけになることでしょう。なお、本作品は北海道札幌市で開かれているHOKKAIDO PHOTO FESTA2022のポートフォリオレビューグランプリ受賞作品をもとにしています。

2024年1月6日(土)から1月28日(日)まで名古屋のPHOTO GALLERY FLOW NAGOYAに巡回し、2024年秋に予定されているHOKKAIDO PHOTO FESTA2024で展示される予定です。

[関連イベント]
トークセッション(無観客)
日時: 12月9日(金)19:00~
登壇者: 中西敏貴×タカザワケンジ

スケジュール

2023年12月5日(火)〜2023年12月23日(土)

開館情報

時間
11:0018:30
休館日
日曜日、月曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.igpg.jp/exhibition/nakanishi.html
会場IG Photo Gallery
https://www.igpg.jp/
住所〒104-0036 東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル302 石田法律事務所内
アクセス東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅A7出口より徒歩3分
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