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[画像: Hiroshi Sugimoto, Brush Impression 0884, 2023]

杉本博司 「火遊び Playing with Fire」

ギャラリー小柳
終了しました

アーティスト

杉本博司
この度、ギャラリー小柳では2023年9月5日(火)から10月27日(金)の会期にて杉本博司の個展「杉本博司 火遊び Playing with Fire」を開催いたします。本展は、杉本が暗室の中で現像液や定着液に浸した筆を駆使して印画紙に書を揮った最新シリーズ「Brush Impression」から《火》を中心とした新作を初公開いたします。

本シリーズは、三年におよぶコロナ禍の後にニューヨークのスタジオに戻った杉本が使用期限を迎えていた大量の印画紙を見つけたことから始まりました。本来なら劣化した印画紙は使用できませんが、古美術品が劣化の果てに美しくなっていくことに習い、杉本は劣化した印画紙を用いて作品を制作することにしました。「書」の技法を暗室に持ち込み、現像液や定着液に筆を浸し、手探りで印画紙に筆を揮いました。

今回の展覧会では《火》を中心に展観いたします。杉本によるところの「誕生の秘蹟でもあり、燃え尽くす終焉の響きでもある」火と幼少期からさまざまな関わりを持ち、「In Praise of Shadows 陰翳礼賛」シリーズでは、蝋燭に灯した火が辿った時間の軌跡を一枚の写真に収めました。本作では、薄暗い暗室の中で「時に手を出し足を出して、燃え盛る」様子を映し出すように筆を使い分け筆跡に多様な質感を与えながら、まるで火遊びをするかのように《火》を無数に書き続けました。一定時間印画紙を光に晒すことで文字に淡い桃色や赤色を写し、さながら大火事にでも見舞われたかのような色とりどりの《火》が展示空間を覆います。その傍には「炎」や「灰」が密かに紛れ込み、時に燃え上がり時に灰となって静まるさまざまな《火》の姿を物語っています。

杉本はこれまで、すでに「ある」ものに自身の解釈を加えて新しい表現へと発展させる試みを続けてきました。これを伝統的な和歌の手法になぞらえ、「本歌取り」と表現しています。今回の作品は、臨書を始まりとして「本歌取り」の解釈をさらに広げ、文字の起源について考察し、自然の形象である「炎」そのものを転写しました。杉本は試行錯誤の過程で、人類最古の文字の一つとされる「楔形文字」、古代エジプトで使用された象形文字が記された「死者の書」、大本教祖出口なおが神の言葉を書きつけた「お筆先」を参照しながら、表音文字の「あいうえお」に表意文字の漢字を当てはめて歌にした一連の作品を制作しています。

渋谷区立松濤美術館では、2023年9月16日(土)から11月12日(日)の会期にて個展「杉本博司 本歌取り 東下り」を開催致します。本展覧会では、書における本歌取りとして上記を含む一連の作品を展観いたします。
ロンドンのヘイワード・ギャラリーでは、2023年10月11日(水)から2024年1月7日(日)の会期にて大回顧展「Hiroshi Sugimoto: Time Machine」の開催を予定しております。

スケジュール

2023年9月5日(火)〜2023年10月27日(金)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
会場ギャラリー小柳
http://www.gallerykoyanagi.com
住所〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル 9F
アクセス東京メトロ有楽町線鉄銀座一丁目駅7番出口より徒歩2分、東京メトロ銀座線京橋駅3番出口より徒歩3分、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A9出口より徒歩6分
電話番号03-3561-1896
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