10月開幕の主要な展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会ウェブ版でのログインやTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
*9月スタートの展覧会はこちらをチェック
キュビスムとはジョルジュ・ブラックやパブロ・ピカソらを中心に20世紀初頭に興った芸術運動のこと。幾何学的な形によって画面が構成されることが特色だ。本展は、世界屈指の近現代美術コレクションを誇るフランス・パリのポンピドゥーセンターから、絵画を中心に彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点(うち50点が日本初出品)が来日。日本でのキュビスム展は50年ぶりとなる。詳細はニュースをチェック。
会場:国立西洋美術館
会期:10月3日~2024年1月28日
森美術館では「エコロジー」をテーマとする展覧会がスタート。地球温暖化をはじめとする今日の環境危機を引き起こした人間中心主義を見直し、私たち人間と周囲の環境との新たな生態系の在り方を再検討する。出品されるのは、資本主義社会の中枢ともいえるニューヨーク・マンハッタンに小麦畑を出現させたアグネス・ディーンズの作品など。ニュースはこちら。
会場:森美術館
会期:10月18日~2024年3月31日
予約優先制
2016年に「さいたまトリエンナーレ」として始動した「さいたま国際芸術祭」は、今回で3回目。プロデューサーは芹沢高志、ディレクターは現代アートチームの目 [mé] が務める。今回のテーマは「わたしたち」。漠然としていながらも主体性を要請する「わたしたち」という言葉を出発点に、世界をあらたな目線でもう一度「みる」ことで、そのなかにある多様な魅力を持つ「わたし」の発見を試みる。参加作家には、小田香、グザヴィエ・ドラン、テリー・ライリー、濱口竜介、倉田翠、伊藤比呂美らが名を連ねる。詳細はニュースをチェック。
会場:旧市民会館おおみやほか
会期:10月7日〜12月10日
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2023」は今年で16回目の開催。今年のテーマは、「いざなうデザイン-Draw the Future-」。建築家・浜田晶則による自然との対話をいざなうインスタレーションや、建築家ユニット・KASAによる「風の庭」、デザインファーム・IDEOによる水資源問題に意識を向けた作品などが公開される。トークセッションやワークショップなども多数開催予定。詳細はニュースをチェックしてほしい。
会場:東京ミッドタウン
会期:10月6日~10月29日
東京・立川のPLAY! MUSEUMでは、陶芸家・アーティストとして知られる鹿児島睦の個展がスタート。200点におよぶ新作の器や、国内外のブランドとコラボレーションしたプロダクト約100点などが公開される。アパレル、ステーショナリー、雑貨、フードなど、オリジナルグッズも多数販売される予定だ。ニュースはこちら。
会場:PLAY! MUSEUM
会期:10月7日〜2024年1月8日
弘前れんが倉庫美術館では、現代美術家・松山智一の個展が開幕。日本とアメリカで育ち、ブルックリンを拠点とする松山にとって、日本の美術館での個展は初めてだ。伝統的な美術に関するリサーチと収集した大量のイメージ群を組み合わせて制作される松山の作品。とくに、国内初公開となる立体作品2点《Mother Other》《This is What It Feels Like ED.2》に注目したい。出展作品など、詳細はニュースをチェック。
会場:弘前れんが倉庫美術館
会期:10月27日~2024年3月17日
アーツ前橋では、開館10周年を記念する展覧会が開幕する。次の10年という新しい地平線を目指すという目標のもと、タイトルが付けられた。作品は同館の展示室に加えて、繁華街に立つ彫刻的な形状の特設会場「HOWZEビル」でも公開される。出展作家は蜷川実花、WOW、関口光太郎、木原共、レフィーク・アナドール、ジェームズ・タレル、蔡國強、オラファー・エリアソン、川内理香子、山口歴、井田幸昌、五木田智央、松山智一、ザドッグ・ベン=ディヴィッド、スプツニ子!ら。プロジェクションマッピングの第一人者、石多未知行がプロデュースするイベントもチェックしておきたい。ニュースはこちら。
会場:アーツ前橋
会期:10月14日~2024年2月12日
アメリカ近代建築の巨匠として知られるフランク・ロイド・ライト。その個展が、豊田市美術館で開催される。展示されるのは、日本初公開となる建築ドローイングや図面の数々を含む約420点。帝国ホテルの設計をキャリアの中心軸として、ライトの魅力に迫る。展覧会の詳細はニュースをチェック。なお本展は、パナソニック汐留美術館、青森県立美術館へ巡回予定だ。
会場:豊田市美術館
会期:10月21日〜12月24日
今年で3回目の「Art Collaboration Kyoto」は10月28日〜30日の3日間開催。国内35ギャラリーと、ニューヨークやパリ、シドニー、香港など海外29ギャラリーの総数64ギャラリーの出展が決定している。今回のキュレトリアルテーマは「Visions of a Torn World:循環と共存」。日本のギャラリーが海外ギャラリーをゲストに迎える「ギャラリーコラボレーション」や、京都ゆかりの作家を紹介する「キョウトミーティング」など、ACKならではのイベントは今年も行われる。ニュースはこちら。
会場:国立京都国際会館
会期:10月28日〜30日
事前予約制
戦前の京都画壇を代表する作家である竹内栖鳳。栖鳳は画壇周辺の流派や西洋画などの表現を融合し、京都の近代画を牽引した人物だ。本展は、これまであまり注目されてこなかった栖鳳の青年期作品も含め、栖鳳の代表作約130点が一堂に集結。その画業を振り返る。なお、前期と後期で展示作品がすべて入れ替わるため要注意。詳細はニュースをチェック。
会場:京都市京セラ美術館
会期:10月7日~12月3日
伊藤若冲、曽我蕭白とともに「奇想の画家」のひとりとして近年国内外から注目を集める長沢芦雪。江戸時代中期に京都で活躍した芦雪は型破りな作風で人気を博した。本展では、重要文化財4件を含む約100件を公開。可愛らしい描写が印象的な動物画はもちろん、ワイルドな人物画や障壁画(襖絵)にも注目したい。ニュースはこちら。
会場:大阪中之島美術館
会期:10月7日~12月3日
今年は第1回印象派展から150年。それを記念し、印象派の巨匠クロード・モネの大規模個展が上野の森美術館で開幕する。本展では同じ場所やテーマを異なる角度、異なる時間、異なる季節を通して描いた「連作」に注目。国内外40館を超えるコレクションから厳選したモネの代表作60点以上が一堂に集結する。
会場:上野の森美術館
会期:10月20日~2024年1月28日
平安時代前期に成立し、日本の風景や人物、伝統的な作風に基づいて制作されてきたやまと絵。本展では、四大絵巻や神護寺三像、三大装飾経など教科書で見た名品約240点が集結する。驚くべき点は、出展作品のうち7割以上が国宝と重要文化財という豪華さ。書跡や工芸など、同時代の絵画以外の作品も多数出展される。
会場:東京国立博物館
会期:10月11日~12月3日
富山県美術館、青森県立美術館で開催されてきた棟方志功の個展が、いよいよ東京国立近代美術館でスタート。日本を代表する版画家として知られる棟方は、制作としては板画、倭画、油彩画といった様々な技法を採用し、それ以外の活動でも本の装丁や挿絵、包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演まで「メディア」を縦横無尽に駆け抜けてきた。本展では、棟方の各地域の関わりを軸にその活動に迫る。
会場:東京国立近代美術館
会期:10月6日~12月3日
八重洲・日本橋・京橋エリアで開催される「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」は今回で5回目の開催。今年のテーマは「LINK UP!」。「時間」と「距離」がもっとも混在し豊かな現代において、新しい点と点を結ぶことを目指すキーワードとなっている。出展作家はエルザ&ジョアナ、システム オブ カルチャー、スキャン ザ ワールド、デヴィッド・ホーヴィッツ、寺田健人、西野壮平、新田樹、リリィ・ルーレイ、濱田祐史、水沢なお、村越としや、神野紗希、山元彩香、川野芽生、山崎博、萩原朔美ら。
会場:Tokyo Institute of Photography
会期:10月7日~10月29日
行政やデベロッパーによる画一的な開発が進む東京郊外の風景と人々を、叙情性を排した視点でとらえた写真で知られるホンマタカシ。ホンマは1999年、写真集『東京郊外』(光琳社出版)で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞している。本展では、建築物の一室をピンホールカメラに仕立て、世界各地の都市を撮影した「THE NARCISSISTIC CITY」など、近作を出展。写真・映像表現にラディカルな問いを投げかける。国内の美術館での個展はおよそ10年ぶりだ。
会場:東京都写真美術館
会期:10月6日~2024年1月21日
沖縄を拠点に精力的な制作活動を続ける写真家・石川真生。その作品は国内外の美術館に収蔵されているにもかかわらず、これまでその活動を振り返るような大規模個展は開催されていなかった。本展では、2014年から取り組んでいるシリーズ「大琉球写真絵巻」の新作を中心に、初期からの主要な作品を公開。半世紀以上にわたって沖縄の地をまなざしてきた写真家の作歴が概観できる。
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:10月13日~12月24日
Art Center Ongoingは東京・吉祥寺に所在する芸術複合施設。普段はギャラリースペースにて現代アートの展覧会を企画しているが、「Ongoing Fes」では音楽ライブ、ドキュメンタリー映像、コンテンポラリーダンスなど、多様なジャンルのアーティストによるイベントが連続開催される。出展作家は三沢洋紀、zzzpeaker、The End、Lee Kai Chung、タテタカコ、ヌルマユ永井、mmm、松倉如子、工藤冬里、iara lee、篠田千明+神村恵ら。
会場:Art Center Ongoing
会期:10月5日~10月22日
結節点が滑らかに連動し、まるで生き物のような動きを見せるモビール作品で知られるオランダの現代アーティスト、テオ・ヤンセン。千葉県とオランダの文化交流事業として開催される本展では、プラスチック・チューブを加工した「細胞」によって構成され、風を受けて動き出す《ストランド・ビースト》などが展示される。
会場:千葉県立美術館
会期:10月27日~2024年1月21日
鉄の持つ素材本来の硬質感や重量感を追求し、彫刻作品を制作してきた青木野枝。その個展が市原湖畔美術館で開催される。展覧会に冠された「光の柱」とは、新作のタイトルでもある。2011年から続くシリーズ「ふりそそぐもの」の一環として、地面から立ち昇り、降下する動体が本展のために制作された。ほかにも《core》など大型彫刻が数点展示される。
会場:市原湖畔美術館
会期:10月14日~2024年1月14日
本展は近年埼玉近代美術館が収蔵した画家の早瀬龍江、映像作家のジョナス・メカス、画家・美術評論家の林芳史と、ゲスト・アーティストとして映像作家・潘逸舟を加えた4名の作家とその関係に焦点を当てる企画。日常と非日常、虚構と現実、過去と現在、国境、ジェンダーなど、私たちの周りにありふれている目には見えない境界のあわいに立ち、往還する作家のまなざしと手探りに注目する。
会場:埼玉県立近代美術館
会期:10月14日 ~2024年1月28日
奈良美智の個展が、世界最大の奈良コレクションを持つ青森県立美術館で開幕する。奈良が同館で展覧会を開催するのは、これで2度目。およそ10年ぶりとなる本展では、学生時代の作品から近作まで公開。とくに東日本大震災以降、約12年間の活動に焦点が当てられる。
会場:青森県立美術館
会期:10月14日~2024年2月25日
1986年に『風の谷のナウシカ』が初めて放映されて以来、多くのスタジオジブリ作品が繰り返し放送されてきた金曜ロードショー。本展では、1984年の『風の谷のナウシカ』から2020年の『アーヤと魔女』まで、スタジオジブリのほぼ全作品の絵コンテが公開。主人公のように撮影できるポスタースタジオや、ナウシカの腐海を表現した空間などが広がる。なお本展は日時事前予約制。詳しくはウェブサイトをチェックしてほしい。
会場:富山県美術館
会期:10月7日~2024年1月28日
事前予約制
制作行為を「新しい祈り」ととらえ、社会問題やそれに関わる人々と向き合ってきたアートユニット・キュンチョメ。近年は様々な方法で海に潜っていたホンマエリとナブチのふたりは、呼吸に注目した作品を発表する。展示作品11点はすべて新作。海で制作された作品を中心に構成されている。会期初めの1ヶ月は作家が現地に滞在し、「深呼吸を持ち帰る」ためのワークショップが定期的に開かれるほか、「記憶のアイスクリーム」(アイスクリームの記憶とアイスクリームを交換する作品)も唐突に開催される。
会場:黒部市美術館
会期:10月7日~12月17日
デジタルテクノロジーによって私たちの生き方や感性はどのように変化していくのか。本展では、テクノロジーと生物との関係に注目。ゲームや衣食住、AIといったトピックごとに章構成が組まれ、その可能性を模索する企画だ。出展作家は、Keiken、MANTLE (伊阪柊+中村壮志)、デイヴィッド・オライリー、東京大学 池上高志研究室、シュルティ・ベリアッパ&キラン・クマール、河野富広、アンリアレイジ、HATRA、岸裕真、ジョナサン・ザワダ、GROUP(井上岳、大村高広、 齋藤直紀、棗田久美子、赤塚健)、VUILD、AFROSCOPEら。金沢21世紀美術館では、10月28日から「チョコレート 至高の名を与えられしもの」もスタートする。
会場:金沢21世紀美術館
会期:10月7日~2024年3月17日
安井仲治は戦前に関西で活動したアマチュア写真家。ピクトリアリスムから、ストレート・フォトグラフィ、フォトモンタージュ、街角でのスナップまで多彩に写真表現を追求した。本展では戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査をもとに、約200点の作品を公開。安井の活動をより実証的な形で提示する。
会場:愛知県美術館
会期:10月6日〜11月27日
京都市京セラ美術館で竹内栖鳳の個展が始まるいっぽう、京都国立近代美術館では栖鳳の弟子にあたる世代の「青春」にせまる展覧会がスタートする。本展では明治末~昭和初期を近代京都画壇の「青春時代」と解釈。土田麦僊を中心に、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草らの代表作約80点が、4章構成で公開される。上の世代と連動しながら、東京や西欧、そして京都の伝統的な表現に挑んだ画家たちの、成熟した時期とは異なる魅力に注目したい。
会場:京都国立近代美術館
会期:10月13日〜12月10日
堀尾貞治(1939-2018)は神戸市出身の美術家。中学卒業後から定年を迎えるまで三菱重工業神戸造船所で働きながら、創作活動と仕事を両立。多いときには年間100回以上という超人的なペースで展覧会に出品してきた。本展で公開されるのは、《千Go千点物語》の作品群。「千号サイズの絵を描きたい」という堀尾の言葉に、ギャラリストが「千号ではないが、廃棄パネルなら千点入手できる」と応じたことをきっかけに、2016年に奈良県大和郡山市にある喜多ギャラリーで6回にわたって行われた1000点の絵画を描くプロジェクトだ。
会場:BBプラザ美術館
会期:10月17日~12月24日
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館では、テキスタイルデザイナーの須藤玲子と須藤が率いるテキスタイルデザイン会社「NUNO」の活動を紹介する展覧会がスタート。既存の概念にとらわれない須藤とNUNOのデザインは、身近な布に新たな視点を提示し、現代のテキスタイルデザインをリードし続けてきた。本展では日本各地の職人、工場との協働作業や、素材の可能性を広げる取り組みに注目。普段は見ることのできないテキスタイルの制作過程を、音と映像を交えたインスタレーションで展観することができる。
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:10月8日~12月10日
本展は、全世界(Pan)の規模と非対面の遠隔(Remote)というふたつの観点から、グローバル資本主義やデジタル化社会という主題を再解釈するもの。出展作家には、井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ヒト・シュタイエル、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子。映像作品や写真、インスタレーション、油彩画などが公開される。
会場:熊本市現代美術館
会期:10月7日~12月17日