左から、荒木悠 「LONELY PLANETS」(十和田市現代美術館)、豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表(東京都現代美術館)、マリー・ローランサン ―時代をうつす眼(アーティゾン美術館)、坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC])
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初台のICCでは、今年3月に逝去した坂本龍一の追悼展がスタート。同館と坂本はこれまで、コンサートの開催や周年企画展など、深い関わりを持ってきた。本展では、坂本の残した演奏データをもとにした作品や、坂本との関わりのある作品、これまでのICCでの展示記録などを公開。キュレーターはICC主任学芸員の畠中実に加え、ライゾマティクスの真鍋大度も名を連ねる。詳細はニュースをチェック。
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
会期:12月16日〜2024年3月10日
アーティゾン美術館では、20世紀前半に活躍した女性画家マリー・ローランサンの個展がスタート。キュビスムの画家として活動をスタートしたローランサンは、第二次世界大戦中もほとんどパリで暮らし、学生時代から72歳で亡くなるまで制作を続けた。本展では関連作家との比較を交えつつ、その魅力に迫る。
会場:アーティゾン美術館
会期:12月9日~2024年3月3日
1980年代のニューヨークを中心に、地下鉄駅構内やストリートへのドローイングで知られるキース・ヘリング。その作品をプリントしたTシャツなど、ファッションアイテムは日本でも人気だ。出展作品は、6mに及ぶ大型作品など150点以上。エイズによって31歳で夭折したヘリングの作家人生を振り返る貴重な機会だ。
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:12月9日〜2024年2月25日
「天地」や「左右」はどのようにして決まるのか。裏と表をひっくり返すとはどういうことか。豊嶋康子は、私たちを取り巻く様々な制度や価値観、約束事に対し、「私」の視点から独自の方法で向き合い続けてきた作家だ。本展は初期作品から新作まで400点近くが一堂に集結する初めての試み。その作家としてのデビューを飾った2作品、《マークシート》《エンドレス・ソロバン》も、全面修復され33年ぶりに公開される。詳細はニュースをチェック。
会場:東京都現代美術館
会期:12月9日~2024年3月10日
約100年前、美術界は東京と京都が中枢を担い男性作家が大多数を占めていたいっぽうで、大阪では島成園や木谷千種、生田花朝など、多くの女性日本画家が活躍していた。本展は、近代に大阪で活動した50名以上の女性日本画家とその約150点の作品を紹介する企画。画家としての社会的な成功を夢見た女性たちの活躍はもちろん、彼女たちを育んだ大阪という都市の文化的な土壌についても注目したい。
会場:大阪中之島美術館
会期:12月23日~2024年2月25日
フランスの首都・パリは1920年代、第一次世界大戦からの復興によって急速に工業化が進み、「機械時代」(マシン・エイジ)と呼ばれる時代を迎えていた。本展は、この時代のパリを中心に、ヨーロッパやアメリカ、日本における機械と人間との関係に注目。フェルナン・レジェ、ルネ・ラリック、ラウル・デュフィ、空山基らの作品を公開する。
会場:ポーラ美術館
会期:12月16日~2024年5月19日
回遊型の個展「O才」や船で夜の水路を巡る「入船(ニューふね)」など、様々な場所でツアー形式の作品を発表してきた梅田哲也。本展は、ワタリウム美術館を劇場と見立て、ツアー形式の舞台公演として開催される企画。美術館の建設以前や建物に刻まれた行動の痕跡を辿りながら、鑑賞を楽しみたい。
会場:ワタリウム美術館
会期:12月1日〜2024年1月28日(1期:〜1月14日、2期:16日〜)
東京ステーションギャラリーでは、仏像のなかでも「民間仏」に焦点を当てた展覧会がスタート。民間仏とは、仏師ではない大工や木地師(きじし)の手によって造られた尊像のことで、装飾の少ない、ユニークなかたちが特徴だ。本展は、これまで注目されてこなかった北東北の民間仏約130点を集め、その魅力を紹介するとともに、日本における信仰と造形の関係を問い直す。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:12月2日~2024年2月12日
社会的慣習や風俗を引用/流用し、家具や結界などの既製品を用いて大胆なインスタレーションを展開してきた白井美穂。本展は、美術館では初の個展。およそ30年ぶりの公開となる90年代前半の立体作品や、2000年代の色鮮やかな絵画作品、最新作までが公開される。
会場:府中市美術館
会期:12月16日〜2024年2月25日
千葉市美術館や新潟市美術館などで開催されてきた本展が、松濤美術館へ。写真におけるシュルレアリスムを説いた瀧口修造、瀧口とともに「前衛写真協会」を設立した阿部展也、ふたりに魅了され「なんでもない写真」というシリーズを手がけた大辻清司、大辻の愛弟子である牛腸茂雄。本展は、昭和という時代のなかで、この4人の作家が作り上げた「前衛」に迫る企画だ。千葉市美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。
会場:渋谷区立松濤美術館
会期:12月2日~2024年2月4日
本展は、美術の制度的な側面が問われていた1960年代に焦点を当てた展覧会。とくに、1967年に開催された第9回東京ビエンナーレは美術と社会の接点を前景化するものだった。出展作家は井上長三郎、堀内正和、杉全直、飯田善國、高松次郎、若林奮など。ビエンナーレ出品作や資料を交えつつ、ひとつの時代を検証する。
会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
会期:12月9日〜2024年2月12日
十和田市現代美術館は今月から、映像作家・荒木悠の美術館での初個展を開催。荒木は日本とアメリカを行き来しながら育ち、各地の様々な言語・文化間で起こる誤訳や誤解、オリジナルと複製の関係などを、ユーモラスなドキュメンタリー、アニメーションなどの映画や映像作品で表現してきた。本展のタイトル「ロンリープラネット」は、世界的なシェアを誇る老舗旅行ガイドブックから採用されたもの。展示では、新作の映像作品4点と過去作3点の公開が予定されている。
会場:十和田市現代美術館
会期:12月9日~2024年3月31日
第二次世界大戦後、印刷技術の発展とともに美術と大衆文化の結びつきが一層強まり、複製メディアによる表現が関心を呼んだ。1957年〜79年に開催されていた「東京国際版画ビエンナーレ展」は版画家やデザイナーの発表の場となった。本展は国立美術館のコレクションから、ビエンナーレへの出展作を中心に紹介。印刷技術の進歩がもたらした可能性を振り返る。
会場:国立工芸館
会期:12月19日~2024年3月3日
スペインのバルセロナで活躍した建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)。本展では、彼の代表作であり、完成が見えてきたサグラダ・ファミリアに焦点を絞り、その建築プロセスを通じて彼の建築思想や創造性に迫る。東京国立近代美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。ガウディとサグラダ・ファミリア聖堂の波瀾万丈なエピソードを紹介する「6つのトリビア」も合わせて読んでおきたい。
会場:名古屋市美術館
会期:12月19日〜2024年3月10日
愛知県美術館で開催されていた安井仲治の個展が、兵庫県立美術館へ。安井は戦前に関西で活動したアマチュア写真家。ピクトリアリスムから、ストレート・フォトグラフィ、フォトモンタージュ、街角でのスナップまで、多彩に写真表現を追求した。本展では戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査をもとに、約200点の作品を公開。安井の活動をより実証的なかたちで提示する。愛知県美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。企画担当者にその魅力を尋ねたインタビューも合わせて読んでおきたい。
会場:兵庫県立美術館
会期:12月16日〜2024年2月12日
本展は、3年以上に及んだコロナ禍を経て、弱った心身を受容しながら生きる術を考えるための希望を宿した作品を紹介する企画。「世界を考える」「個人として」「自然の姿から」「新たな希望を」の4章構成のもと、大岩オスカール、モナ・ハトゥム、米田知子、小金沢健人、畠山直哉、兼子裕代、猪熊弦一郎らの作品が公開される。
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:12月23日〜2024年3月10日