2025年に全国で開催される芸術祭をピックアップして紹介します。おなじみの国際芸術祭から初開催のイベントまで、2025年も多様な芸術祭が開催されます。いまから旅の予定を立ててみては?
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2021年に世界自然遺産に登録された沖縄本島北部を会場とする芸術祭。総合ディレクターを石垣島生まれのアーティスト・仲程長治が務める。8回目を迎える本年度は「山原本然」をテーマに、「エキシビション部門」「クラフト部門」の2部門でプログラムを構成。現代アートの作品が集まる「エキシビション部門」のディレクターは金島隆弘が担当し、31組のアーティストがサイトスペシフィックな作品を発表する。県内の様々なクラフトを展示販売する「クラフト部門」のキュレーターは、麦島美樹/麦島哲弥。
会場:沖縄県本島北部地域の各会場
会期:1月18日〜2月24日
「映像とは何か」という問いを投げかけながら、国内外の映像表現を紹介してきた「恵比寿映像祭」。今回は、「Docs —これはイメージです—」をテーマに据え、メディアの変容に着目して幅広い作品群をイメージと言葉から紐解くことで、「ドキュメント/ドキュメンタリー」の再考を試みるという。東京都写真美術館の全フロアを使って国内外で活躍するアーティストによる映像、写真、資料などのパフォーマンスや身体性と関連する作品群が展示されるほか、第2回目となる「コミッション・プロジェクト」のファイナリストである小田香、小森はるか、永田康祐、牧原依里による新作展示も予定。
会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか
会期:1月31日〜2月16日
2013年から京都市内各所を舞台に開催されている写真の国際芸術祭。第13回を迎える今回は、「HUMANITY(人間性)」をテーマに掲げる。共同創設者/共同ディレクターはルシール・レイボーズと仲西祐介。メインプログラムでは、石川真生、JR、マーティン・パーら世界10ヶ国から13組のアーティストが参加。市内の様々な会場で展示を行う。またサテライトイベントとして、これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘と支援を目的とした公募型アートフェスティバル「KG+2025」も開催される。
会場:京都市内各所
会期:4月12日〜5月11日
2022年からプレイベントを行ってきた「Study:大阪関西国際芸術祭」が、大阪・関西万博にあわせて本祭として開催される。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にあわせ、「人間とは何か。」を考察する内容になるという。ロン・ミュエク、パトリシア・ピッチニーニ、マウリツィオ・カテランらが、安藤忠雄の設計による大阪文化館・天保山(旧サントリー・ミュージアム)を会場にハイパーリアリスティックな彫刻作品を発表するほか、釜ヶ崎芸術大学、kioku手芸館 たんすを拠点に活動する「NISHINARI YOSHIO」が西成エリアを中心に参加する。
会場:大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア 、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリア、松原市ほか
会期:4月13日~10月13日
※会場などにより会期が異なります
15年目の節目を迎える「瀬戸内国際芸術祭」は、春・夏・秋会期にわけて計107日間にわたって開催。今回から瀬戸大橋エリア、志度・津田エリア、引田エリアが新たに会場として加わるほか、直島では今春開館の直島新美術館も会場に。ジャッガイ・シリブート、プ・ジヒョン、雲門舞集ら21の国と地域から計63組のアーティストが参加。また新規にニュージーランドやスウェーデンと連携を図り、ニュージーランドからは「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ」で金獅子賞を受賞した「マタホ・コレクティブ」のメンバーでもあるサラ・ハドソンが参加する。さらに芸術祭の連携プロジェクトとして、開催地域の8つの美術館が日本人アーティストの展覧会を行う。
会場:瀬戸内の島々と沿岸部
会期:春会期4月18日〜5月25日、夏会期8月1日〜8月31日、秋会期10月3日〜11月9日
「千葉国際芸術祭」は、トリエンナーレ形式の市民参加型芸術祭として2025年に初開催される。芸術祭のコンセプトは「ちから、ひらく。」。総合ディレクター・中村政人(アーティスト、東京藝術大学副学⻑)のもと、「新たな文化の創造と魅力の発信」「地域への関心や関わりの醸成」「多様な主体の尊重とつながりの創出」を目的に掲げ、千葉市を舞台に行われる。「ソーシャルダイブ」と題し、出展アーティストの一部は公募により選考。2025年3月まではプレ会期として、「先生たちのアートアンデパンダン展」をはじめとする様々なイベントが企画されている。
会場:千葉駅周辺エリア、県庁前エリア、西千葉エリア、花見川エリア、千葉市動物公園
会期:4月〜12月(コア期間9月下旬〜11月下旬)
2010年から3年ごとに開催されたきた「あいちトリエンナーレ」のタイトルを改め、今回から国際芸術祭「あいち2025」として行われる本芸術祭。『ArtReview』が毎年選出する「Power 100」で2024年の1位に選出されたフール・アル・カシミが芸術監督を務める。テーマは、モダニズムの詩人アドニスによる詩から着想を得て構想された「灰と薔薇のあいまに」。ダラ・ナセル、沖潤子、小川待子、アドリアン・ビシャル・ロハスをはじめ、約50組のアーティストが参加する予定だ。
会場:愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか
会期:9月13日〜11月30日
「BIWAKOビエンナーレ」は、滋賀県の琵琶湖を中心に広がる、近江八幡旧市街、沖島、彦根市街地、鳥居本などの複数会場を舞台に、国内外のアーティストが展示を行うアートイベント。長年放置されている空き家や古民家を会場として活用することで古き良き建築の魅力を再発見し、後世につなぐ「地域再生」も目的のひとつ。歴史と伝統が根付いた街に点在する会場を巡りながら、作品とともに地域の文化や風土に触れることができる。2025年度のテーマは「流転〜FLUX」となり、開催までに様々なプレイベントも行われている。
会場:滋賀県近江八幡旧市街地、沖島、彦根市街地、彦根城、鳥居本など
会期:9月20日〜11月16日
3年に1度、岡山市中心部で開催される国際現代美術展。フィリップ・パレーノがアーティスティック・ディレクターを務め、タイトルは村上春樹の小説『1Q84』の触発されてつけられたという「青豆の公園」となる。参加ゲストには、中田英寿、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、プレシャス・オコヨモン、ティノ・セーガル、島袋道浩、リアム・ギリックら30組が名を連ねる。今回は、これまで無料だった屋外展示に揃え、原則有料だった屋内展示も含め、すべての会場を鑑賞料無料とする異例の試みを行う。
会場:岡山城・岡山後楽園周辺エリア
会期:9月26日~11月24日
3年に1度、広島県福山市・尾道市を中心に行われる建築文化の祭典として、2025年に初開催される「ひろしま国際建築祭」。今回は、「つなぐ——『建築』で感じる、私たちの“新しい未来” 」をテーマに据え、プリツカー賞を受賞した9人の日本の建築家に焦点を当てる展覧会や、丹下健三の自邸を再建するプロジェクトにまつわる展示などが企画されている。また、文化財指定されている古建築や、通常は非公開の現代建築を特別に一般公開するオープン・アーキテクチャーも開催される。
会場:ふくやま美術館、iti SETOUCHI、神勝寺禅と庭のミュージアム、尾道市立美術館、LOG、ONOMICHI U2、瀬戸内海周辺のサテライト会場ほか
会期:10月4日〜11月30日
東京都とお台場トリエンナーレ実行委員会の主催により、2025年にお台場エリアで初開催される「東京お台場トリエンナーレ」。「泰平の眠りを覚ます上喜撰 ー野生とカオスと新世界ー」をテーマに据え、時代を切り開くエネルギーをアートの力で街にもたらすことを目指すという。アーティスティック・ディレクターは、建畠晢、三木あき子、山峰潤也。第1弾アーティストとして、草間彌生、笹岡由梨子、アブラハム・ポワンシュヴァル、ヤギの目、ルー・ヤン、ブラスト・セオリーの参加が発表されており、最終的な参加作家は約40名ほどになる予定。
会場:台場公園、フジテレビ本社屋・フジテレビ湾岸スタジオ、日本科学未来館ほか
会期:10月18日〜12月25日