石川祐太郎は、少年期をアメリカで過ごし、東京でファッションを学んだ後、2018年より制作活動を開始しました。石川の作品において、重要なマテリアルとなっているのが、衣服です。“着る”という目的以外の側面に興味があるという石川がまず着目したのは、「衣服についたにおい」です。香水や煙草など、所有者の存在を感じさせるにおいが染み付いた衣服は、パーソナルな記憶の象徴であると考え、ワックスで固形化することでにおいを閉じ込め、カーヴィングを施し、立体作品に昇華した作品を発表しました。 2023年5月にLAID BUGで開催したソロエキシビジョン「Punch-Drunk」では、シグネチャーとなった衣服とワックスを用いた手法を拡張させ、自身初となるインスタレーション作品を発表。2024年2月に西麻布WALL_alternativeで開催されたグループ展「Saturday Night Once More」ではドローイング作品を発表するなど、新しい表現にも意欲的に取り組んでいます。
LAID BUGにて2度目の展示となる本展は、石川によって「GHOST」と名付けられました。日本では、幽霊は重要なメッセージを伝える存在とされ、“丑三つ時”や“逢魔時”、“辻”といった特定の時間帯や領域に現れると信じられてきました。こうした瞬間や場所は「境界」に存在するとされ、過去と現在が交錯し、見えないものが現れる神秘的な力が宿っていると考えられています。
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