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[画像: Yukie Ishikawa, IMPERMANENCE 2009 (detail), 2009, Photo: Hayato Wakabayashi; Akane Saijo, Liaison, 2024, Photo: Takeru Koroda; All artworks © the artist.]

石川順惠 + 西條茜 展

BLUM
終了しました

アーティスト

石川順惠、西條茜
BLUM東京は、2024年5月18日より、東京を拠点とする石川順惠と京都を拠点とする西條茜による2人展を開催いたします。本展は、石川の新作シリーズである「月白」を紹介するとともに、西條の当ギャラリーへの所属後初の展覧会となります。

およそ30年の時代を隔てて登場した二人の作家は、いずれもその活動を通じて文化的因習やメディウムの従来的な性質についての再考を行ってきました。1980年後半から1990年にかけて、商業主義的社会についての批判性を持った絵画作品を発表するようになった石川は、その後も、静かな反骨精神を湛えながら非永続性を意味する「Impermanence」というシリーズに取り組んでいます。一度完成させたキャンバスへの加筆によって生み出される本シリーズは、日本的な美術の要素として見られるような入り組んだ複層的な変化を持ったコンポジションに、西洋のモダニストたちが多く用いてきた平面的で、水平・垂直なグリッドを取り入れています。その一方で、西條は「Phantom Body」と名付けた作品群によって、クレイを用いた触覚的な彫刻とその場限りのパフォーマンスという一見異なる分野を見事に融合させてきました。西條の実践は、陶芸という媒体の規範に身体のための空間を導入することで、オブジェは本来手で触れるという行為から切り離されたものである、という前提のもとに成り立つ美術の常識的な考えへの挑戦とも言えます。

石川は、その初期の絵画作品群において、雑誌の広告記事のような印刷物に存在する形態を引用したイメージを拡大、投影し、キャンバス上で写し描くことで、元のイメージとはかけ離れた抽象的な形態を描いてきました。例えば、本展で紹介する、1990年代に着手したキャンバスに、2008年に後から加筆を行った「非永続性 2009」(2009年) には、スパゲッティの広告から切り取ったイメージが、「非永続性 10」(2008年) には、カップヌードルの宣材画像から切り取ったイメージが登場します。さらに石川は、2008年から「非永続性」という思想を抽象的で幾何学的言語へ置き換えたシリーズに取り組むようになります。これらの作品群では、1990年代や2000年代の未完成の作品に再び手を加え、線やグリッドの層を描き加えるという試みを始めました。この試みはその後、真新しいキャンバスにも活かされることとなります。密度を持ったレイヤー群がもたらす効果は、日本における水墨画や浮世絵の絵画構造に言及されるように、一点集中的で空間の中の奥行きの先にある特定の箇所へと視線の流れを導くような構造を持ったいわゆる西洋的な絵画とは異なるものです。石川の作品群が与える浮遊感は、モダニズム的な西洋の画家たちが多く生み出そうとしていた厳格な構造とは、全く逆の立場を取っています。

本展では、近作となる「月白(つきしろ)」のシリーズから「月白1」(2023年)、「月白5」(2024年)、「月白6」(2024年) を紹介します。「月白」とは、字義通り「月―白」を意味し、月が東へ上がり、空が次第に白んで光り輝く様に言及したものです。それは、十五夜に昇る月を待ち望んでいるかのような、上向きの視線を表現しているようです。「月白」は、「げっぱく」とも読むことができ、それは月の光を思わせるような、青みを帯びた白色を指します。

西條は、人と物の間にあり、それぞれを異なるものに変える極小の空間を意味する「アンフラマンス」というマルセル・デュシャンによるコンセプトに言及して、その複雑性を持った自身の陶芸作品を語っています。デュシャンは、この用語を過剰に説明することはしなかったものの、ポンピドゥー・センターには「自分が公開するものと...一般大衆の冷ややかな視線との間のやりとり...非常に多くの場合、このやりとりは、薄っぺらな分離の価値を持っている。つまり、あるものが賞賛され、注目されればされるほど、薄っぺらな分離は少なくなるということだ」と記されたメモが残っています。西條の立体作品が持つネガティブスペースは、身体によるポジティブスペースとの補完関係であると言えます。西條はしばしばパフォーマーたちとの協働を通して、開口部との接触を許します。それはまるで、作家の手により修練されたフォルムが、パフォーマーたちの口や体全体を包み込んでいくようであり、作品に備わった穴に息を吹き込み、音を奏でるというアクティベーションのプロセスによって、作品と鑑賞者の身体との間のごくわずかな隔たりである「アンフラマンス―極薄」な空間は、極限まで押し広げられ、ほとんどなくなってしまうかのようです。

陶と一体化した、身体のあり方もまた、陶芸というメディウムがその誕生時からそうであったように、作品を構成する重要な要素と言えます。西條は自らの手で粘土に触れ、焼き物の伝統的な技法を活かしながら、かたちを構築していきます。徹底したリサーチや、陶芸を体系的に学んだ背景によって、西條は、美術が持つコンセプチュアルな要素と熟練的なクラフトマンシップをシームレスに融合させているのです。

スケジュール

2024年5月18日(土)〜2024年6月22日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2024年5月18日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://blum-gallery.com/exhibitions/yukie_ishikawa_akane_saijo
会場BLUM
https://blum-gallery.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森 5F
アクセスJR山手線原宿駅竹下口より徒歩1分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2番出口より徒歩2分
電話番号03-3475-1631 
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