左から「大巻伸嗣―真空のゆらぎ」(国立新美術館)、「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」(麻布台ヒルズギャラリー)、今村源「遅れるものの行方」(水戸芸術館 現代美術ギャラリー)、「倉俣史朗のデザイン ――記憶のなかの小宇宙」(世田谷美術館)
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空間全体をダイナミックに変容させ、観る人を異世界に誘うような幻想的なインスタレーションやパブリックアートを手がけてきた大巻伸嗣。弘前れんが倉庫に続き、国立新美術館でも個展が開催される。本展では、柱のない広大な展示空間のもと、最新インスタレーションや映像作品を公開。身体に訴えかける空間演出に注目したい。
会場:国立新美術館
会期:11月1日~12月25日
工業素材も用いた家具やインテリアで知られ、1960年代以降、デザイン界で高い評価を受けてきたインテリアデザイナー・倉俣史朗。およそ20年ぶりとなる回顧展が世田谷美術館で開幕する。出展作品には、初期から晩年までの作品に加えて、その制作の過程を示す夢日記やスケッチも。詳細はニュースをチェック。
会場:世田谷美術館
会期:11月18日~2024年1月28日
11月24日に開館する麻布台ヒルズでは、その記念展としてオラファー・エリアソンの個展がスタートする。本作に関連する新作インスタレーションや水彩絵画、ドローイング、立体作品などを公開。新作のパブリックアート《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》も麻布台ヒルズに設置されている。ニュースはこちら。
会場:麻布台ヒルズギャラリー
会期:11月24日~2024年3月31日
「アートウィーク東京」は、都内の美術館・ギャラリーを無料シャトルバスで巡る現代アートの祭典。今年は11月2日〜5日の4日間の開催だ。イベントの軸となる無料シャトルバス《AWT BUS》や、南青山の複合ビルでの《AWT BAR》などに加えて、今年は「買える展覧会」《AWT FOCUS》(会場は大倉集古館)という新企画も。詳しくはニュースをチェック。
会場:⼤倉集古館ほか
会期:11月2日~5日
独創的なアートブックを制作する出版社、ギャラリー、アーティストらが集結する「TOKYO ART BOOK FAIR」。13回目を迎える今年は、11月23日〜26日の4日間開催される。特定の国や地域の出版文化をフィーチャーする企画「ゲストカントリー」には、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドの北欧5ヶ国が選ばれた。詳細はニュースをチェックしておきたい。
会場:東京都現代美術館
会期:11月23日~26日
本展は、人間以外の自然界のいきものを「うつす」ことに取り組み続けてきた作家を紹介。出展されるのは、様々な土地に生息するキノコを描く小林路子、国内におけるバードカービングの先駆者・内山春雄、酪農の現場で働きながらウシたちを木版画にとらえた冨田美穂ら6名による作品。動物や植物というありふれた題材を、数十年にわたって追い続けた作家たちのまなざしに注目したい。
会場:東京都美術館
会期:11月16日~2024年1月8日
本展は、文字とデザインの関係に注目する企画。とくに、出版物や印刷物のデータ制作の過程の多くをパソコン上で行うことが主流となった1990年代以降のデザインに注目。国内外約40組のグラフィックデザイナーのクリエイションが展示される。展覧会ディレクターはグラフィックやタイポグラフィの著書を手がける編集者・室賀清徳、グラフィックデザインの研究者・後藤哲也、グラフィックデザイナーの加藤賢策の3名だ。
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:11月23日〜2024年3月10日
泉屋博古館東京では、床の間や座敷を飾る日本画の魅力を紹介する展覧会がスタート。明治時代に西洋文化が到来したことで、絵画の「棲み家」は邸宅から展覧会場へ移っていった。本展では、かつて住友家を飾った日本画群を再現展示。現代の作品を交えつつ、床の間芸術の魅力を再発見する。
会場:泉屋博古館東京
会期:11月2日〜12月17日
肉筆画とは版画とは異なり、浮世絵師が筆で紙や絹などに直接描いた一点ものの作品のこと。本展では菱川師宣から喜多川歌麿、葛飾北斎、小林清親まで、江戸から明治にかけての肉筆画を紹介。葛飾北斎の娘としても知られている葛飾応為の代表作《吉原格子先之図》などが公開される。詳細はニュースをチェック。
会場:太田記念美術館
会期:11月1日~11月26日
古賀忠雄は佐賀県出身、練馬区に長くアトリエを構えた彫刻家。日展の評議員、理事を務めながら、日本彫塑会委員長、日本陶彫会会長などを歴任した。本展では、こうした古賀の活動の中から「塑造(像)」に注目。約30点の塑像に加えて、各地に設置された作品がパネルで紹介される。
会場:練馬区立美術館
会期:11月17日〜2024年2月25日
今村源は、関西を中心に活動する彫刻家。ボール紙、発泡スチロール、石膏、針金など、日常にありふれた軽い素材を用いて浮遊感溢れる「彫刻」を制作してきた。美術館での個展はおよそ10年ぶり。作家が関心を寄せる、菌類やキノコの世界にも焦点が当てられる。
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:11月3日~2024年1月28日
全国を巡回しているアーツ・アンド・クラフツの展覧会が、山梨県立美術館でもスタート。「アーツ・アンド・クラフツ」とは、19世紀にイギリスで活躍したデザイナー、ウィリアム・モリスが提唱したデザイン運動のこと。日常生活と芸術を結びつけたこの運動は、現代のデザインにおいてもその思想が引き継がれている。本展では、モリスの代表作《いちご泥棒》を筆頭に、家具、金属製品、ガラス製品、宝飾品、書物など160点が公開。運動の展開と魅力に迫る。
会場:山梨県立美術館
会期:11月18日~2024年1月21日
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の総監督などとして知られる庵野秀明。本展はアニメーター時代に参加したキャリア初期作から、監督、プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅し、その創作活動の全貌に迫る企画。国立新美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。須川亜紀子によるレビューも合わせて読んでおきたい。
会場 : 長野県立美術館
会期 : 11月25日~2024年2月18日
表具とは、東アジアの書画芸術における掛軸、巻物、屏風などのこと。西洋絵画の額縁のように作品を際立たせるために普段は注目されないが、保存管理から装飾・演出まで様々な機能と魅力が備わっている。本展は表具とその仕立てを指す表装に焦点を当てる企画。表具の変遷や表具師の活動に迫る。
会場:泉屋博古館
会期:11月3日〜12月10日
今年没後40年を迎える牛腸茂雄の回顧展は、兵庫県の市立伊丹ミュージアムで開幕。牛腸はハンディキャップを抱えながら、大辻清司との出会いをきっかけに、生涯写真集の制作に力を注いだ。本展では、生前に制作された写真集『日々』(1971)『SELF AND OTHERS』(1977)や、未完に終わった『幼年の「時間(とき)」』の作品、関連資料などおよそ200点が公開される。
会場:市立伊丹ミュージアム
会期:11月3日〜12月24日
本展は、ガラス作家・山野アンダーソン陽子の作品を起点とするプロジェクト「Glass Tableware in Still Life(静物画のなかのガラス食器)」を紹介する企画。画家から伝えられたガラス作品のイメージを山野が造形し、それを画家が描く。さらに、写真家・三部正博が画家たちのアトリエを撮影し、デザイナー・須山悠里が本をデザインする。この連続的なコラボレーションで生み出された、クリアーガラスの食器、絵画、写真が公開される。
会場:広島市現代美術館
会期:11月3日~2024年1月8日