「かこさとし 絵本への『まなざし』」

軽井沢絵本の森美術館
10月14日終了

アーティスト

かこさとし
東京~軽井沢~金沢までを結んでいた北陸新幹線が、このたび福井県の敦賀まで延伸しました。これを記念し、昨年より軽井沢町と福井県は連携を行ってまいりました。その一環として、軽井沢絵本の森美術館では、福井県出身の絵本画家「かこさとし」の特別展を開催いたします。

かこさとし(加古里子、1926-2018)は、福井県武生市(現:越前市)に生まれました。東京大学工学部を卒業後、会社勤務をしながらセツルメント活動(工場労働者が多く住む地域でのボランティア活動)を始めます。その一環として、子どもたちに手作り紙芝居や絵本を作り、これが後の絵本作品につながります。そして1959年に福音館書店より『だむのおじさんたち』(現在は復刊ドットコム)を刊行し、絵本作家としてデビューしました。

かこさとしの絵本には、自身の経験や洞察が込められています。特に大きいのが戦争経験です。戦争を経て、かこさとしは「自分に何ができるのか」追求するようになります。その中で彼が見ていたのは、自国を復興させようと立ち上がる人々、彼らが築き上げていく町の姿でした。こうした光景が、かこさとしの創作の原点となります。そして「子どもたちが自分の先生」と語るように、子どもたちの反応を見ながら、彼らの探求心を引き出すような紙芝居、そして絵本を作っていったのです。

たとえば代表作『からすのパンやさん』(偕成社、1973年)は、ロシアのモイセーエフ舞踊団の組曲「パルチザン」に着想を得ています。「パルチザン」は、戦いに身を投じる民族をテーマにした内容ですが、かこさとしは「そこに登場する兵士・農民・労働者・老若男女の一人ひとりの人物描写」に心打たれ、この学びをからすたちに試みたといいます。また、同作は続編『からすのおかしやさん』『からすのやおやさん』『からすのてんぷらやさん』『からすのそばやさん』(いずれも偕成社、2013年)も出版されました。懸命に生きる人々の姿が、本シリーズのからす一羽一羽の表情を生き生きとさせているのです。

また、代表作『だるまちゃんとかみなりちゃん』(福音館書店、1968年)では、「雲車(ウンカー)・雷車(ライカー)」があちこちを走り、「配膳移送機」がごちそうを運んでくれる、非常に近未来的なかみなりちゃんの町が登場します。見開きいっぱいに描かれたこの場面からは、「私たちの世界も、いつかこんな風になるのかな」と、期待がわいてきます。同時に、かみなりちゃんの町の住人の姿を通して、科学技術を発展させてきた人々の力を感じ取ることができるのです。

「はたらく人々」の思いや力を、長きに渡ってこどもたちに伝えてきた、かこさとしの絵本。作者の「まなざし」とともに、お楽しみいただけたら幸いです。

スケジュール

開催中

2024年6月14日(金)〜2024年10月14日(月)あと103日

開館情報

時間
9:3017:00
休館日
火曜日
7月から9月は無休
入場料一般 1000円、高校生・中学生 700円、小学生 500円、未就学児 無料
会場軽井沢絵本の森美術館
https://museen.org/ehon
住所〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉182
アクセスJR線・しなの鉄道軽井沢駅北口より西武観光バス(風越公園行き)「塩沢湖」下車徒歩1分
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