アーニー・グリムシャーが創設したメガギャラリーのペース(Pace)が今年、東京の麻布台ヒルズに新しくギャラリーをオープンさせる。
この東京進出の立ち上げの指揮を、服部今日子が務めることが発表された。副社⻑に就任する服部は世界各地のペースのリーダーらと密に連携をとりながら、日本各地で急発展するアートシーンと、アーティストやクライアントとを結びつける役割を担う。
服部は、フィリップス・オークショニアズ日本代表を務め、2016年のフィリップス東京オフィス立ち上げにあたっては、日本でのブランドの確立、コレクターとの関係構築と、オークションへの作品出品の責任者として重要な役割を担ってきた。代表的な出品作品には、前澤友作が所蔵していたジャン=ミシェル・バスキアの絵画などがある。服部は東京大学経済学部卒業後、金融サービスやコンサルティングの大手企業でキャリアを積み重ねてきた。現在、アジアを拠点とする大手保険会社「FWDグループ」の社外取締役も務める。
服部今日子のコメントは以下。
「ペースギャラリーに加わり、東京のギャラリー立ち上げに携われることを大変嬉しく思います。日本のアーティスト、そしてコレクターや美術館が世界のアート界とのつながりをさらに深め、日本のアジアにおける文化・アートの中心地としての躍進に貢献できることを光栄に思っております。」
ペースギャラリー社⻑サマンサ・ルーベルのコメントは以下。
「服部がもたらしてくれるのは、日本と世界のアート市場における⻑年の経験だけでなく、日本と世界各地のキュレーターやコレクター、アーティストと培ってきた関係性です。ペースにとって、彼女の素晴らしいエネルギーと知識は大きなプラスとなります。今日子と日本のチームによって、日本の歴史的文化と現代文化の両方が持つ活気と深みが、我々のコミュニティ全体に素晴らしい影響を与えてくれるでしょう。」
ペースギャラリーは1960年に創設、現在は世界に8つの拠点があり、ヨーロッパにはロンドンとジュネーブ、そして2023年にはベルリンにオフィスを新設している。またグローバルギャラリーのなかでもいち早くアジアに進出し、現在、香港とソウルに常設ギャラリーを、北京にオフィスとビューイング・ルームを構えている。取り扱い作家は、パブロ・ピカソ、マーク・ロスコ、アグネス・マーティン、ジャン・デュビュッフェ、ルイーズ・ネヴェルソンといった20世紀を代表するアーティストのほか、ジェフ・クーンズ、ジェームズ・タレル、奈良美智、李禹煥、メアリー・コースなど。
東京の新ギャラリーは昨年オープンした麻布台ヒルズに入居する。3フロアにわたるスペースは総面積510㎡、建物設計は英国の建築家、トーマス・ヘザウィックが手がけている。ギャラリーの内装は、人間の身体、自然界、建築デザインの共存をテーマとする建築家、藤本壮介が担当。緩やかな丘陵を思わせる建築の1、2階には、総面積280㎡におよぶ展示スペースが広がり、プライベートテラスとなる3階は斜面と一体的にデザインされた屋外彫刻の展示にふさわしい空間となっている。人間の身体・自然界・そして建築デザインの共存を重視する藤本らしい内装が特徴だ。
2024年5月からは、麻布台ヒルズギャラリーがペース・ギャラリーとの共催でアレクサンダー・カルダーの展覧会「カルダー:そよぐ、感じる、日本」を開催する。