新年あけましておめでとうございます。新しい年がみなさんにとって良い年になるよう、心よりお祈り申し上げます。
2025年の干支は巳(蛇)。蛇は脱皮して成長していくことから、再生や生命力、変革の象徴と言われています。金運や財産の神様・弁財天の化身ともされ、金運を招くとも考えられているそう。また神秘的な存在として、古くから様々な地域の神話や伝説、物語などに描かれてきました。
そのように多様な側面で人々を魅了してきた「蛇」をフィーチャーした企画や展示が、新年から各所で行われます。「蛇」のご利益に預って、展覧会初めをしてみてはいかが?
東京国立博物館で正月恒例の企画となっている「博物館に初もうで」。今回は、蛇を表した古今東西の作品を通して、美しさ、迫力、面白さ、かわいらしさなど、私たちが蛇に見出してきた様々な魅力が紹介されます。にょろにょろとした動きやとぐろを巻いた姿、人や動物を飲み込み、毒牙で噛み付く大きな口などを見て、人々は蛇にどのようなイメージを重ねてきたのでしょうか? 頭上で蛇がとぐろを巻いている《十二神将立像(巳神)》をはじめとする重要文化財や、222個の部材からなる蛇の「自在置物」なども展示されます。
さらに東京国立博物館の各展示室では、長谷川等伯筆の国宝《松林図屏風》(1月2日~13日、本館2室にて展示)など、同館所蔵の名品や正月を寿ぐ吉祥作品を見ることができます。1月2日、3日は新春気分を味わえる和太鼓や獅子舞のイベントなども企画されています。
会場:東京国立博物館
会期:1月2日〜26日
長寿や子宝、富や繁栄など、人々の願いが込められた美術に焦点を当てた展覧会。松竹梅や七福神をはじめ、現代人にとってもラッキーモチーフといえるような作品や、ユーモラスな表現、幸福感のある情景など、見る者を幸せな気持ちにする力を持った作品群が紹介されます。展示作品には、伊藤若冲《鶴図》や富士山の堂々たる姿を描いた横山大観《心神》など新春にふさわしいおめでたい作品がずらり。干支にちなみ、蛇を描いた作品も展示されています。新しい年に、古墳時代から近代・現代まで幅広いテーマの「HAPPY」な美術を堪能できる展覧会になっています。レポートはこちらから。
会場:山種美術館
会期:2024年12月14日〜2月24日
これまでも干支に関連する展覧会を行ってきた慶應義塾ミュージアム・コモンズでは、1月9日から蛇をテーマにした展覧会が開催されます。慶應義塾のキャンパスで文化財を巡る活動を行う部門から、「蛇」にまつわる稀覯本、屏風、鏡、写真、装飾額など多様な作品を集め、少し怖いけれど鮮やかな「へびたちの住処」に来場者を誘うような展示内容になっています。本展は、事前予約不要、無料で鑑賞することができます。
会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
会期:1月9日〜2月7日
細長い体を持つ不思議な生き物として、古くは恐ろしくも特別な力を持つ存在と考えられてきた蛇。水の神や、豊かな実りをもたらす神としても信じられきました。京都国立博物館の新春特集展示では、「むかしむかし」「こわいヘビ」「ふしぎなヘビ」「ほとけとヘビ」の4章通して、美術に登場する様々な蛇の姿を紹介します。
会場:京都国立博物館
会期:1月2日〜2月2日
九州国立博物館では、「ヘビににらまれたカエル」という慣用句にちなみ、蛇に加えて、蛙のことも応援するというユニークな企画が実施されます。蛇が蛙を飲み込もうとする緊迫の一瞬を表現した江戸〜明治期の根付や、中国の霊獣である3本足の蛙の彫刻のほか、蛇や蛙が作品の一部に描かれた仏涅槃図や縄文土器など多彩な作品を展示。作品の中に隠れた蛇や蛙を探検ツアーのように探しに行く企画になっています。
会場:九州国立博物館
会期:1月1日〜2月2日
毎年恒例の新春ミニ展示として、大阪市立自然史博物館では本館出入口付近の展示コーナーにて、蛇にまつわる様々な標本を展示。はねに蛇の目のような眼状紋を持つことから「蛇の目蝶」と呼ばれるジャノメチョウ、日本周辺を含めたインド〜西太平洋の沿岸域に広く生息するホタテウミヘビの標本などが登場します。爬虫類のウミヘビの標本も展示され、爬虫類のウミヘビと魚類のウミヘビを見比べることもできるそう。
会場:大阪市立自然史博物館
会期:1月5日〜1月26日