重要文化財18点(うち2点は寄託)を含む13000点を超える国内最大級のコレクションを有する東京国立近代美術館。「MOMAT コレクション」は、所蔵作品から選りすぐりの約200点を、会期ごとに3フロア、12の部屋に分けて展示し、19世紀末から現代までの日本美術の歴史を多様な切り口で紹介している。このたび、9月からの「MOMATコレクション」(会期:9月3日~12月22日)の情報が公開された。
Tokyo Art Beat 編集部が注目しているのは、コレクションによる小企画「フェミニズムと映像表現」である。フェミニズムをテーマに、女性に着目して1970年代から現代までの約半世紀のヴィデオ・アートを見直す貴重な機会だ。ヴィデオ・カメラというテクノロジーの登場は、美術の歴史にも大きな変化をもたらした。マスメディアの情報を問い返し、自ら発信者にもなれる技術を巧みに活用した作家たちの実践に注目したい。
出品作家は、ジョーン・ジョナス、出光真子、リンダ・ベングリス、マーサ・ロスラー、ダラ・バーンバウム、キム・スージャ、遠藤麻衣×百瀬文。展覧会では、テーマと作品解説をまとめた無料パンフレットが配布される。
また、アンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表してから100年を記念して、世界に波及したシュルレアリスムの作品や資料を紹介する「シュルレアリスム 100年」では、昨年所蔵されたマックス・エルンストの代表作《砂漠の花(砂漠のバラ)》(1925)が公開される。
芥川(間所)紗織アーカイブ実行委員会によるプロジェクト「Museum to Museums」の一環として行われる「生誕100年 芥川(間所)紗織」では、1950年代から前衛画家として注目された数少ない日本の女性アーティストのひとりである芥川(間所)の全作品6点とともに、同時代の作品が展示される。見どころたくさんのMOMATコレクションに注目したい。