公開日:2024年6月18日

自民党が「文化芸術の力をわが国成長の原動力へ ~文化立国実現に向けた国家戦略の構築~」を提言。アート市場活性化など6つの重点施策を取りまとめ

文化立国調査会がのべ20回にわたる議論を行い、関係大臣に申し入れた

左から宮内秀樹、橘慶一郎、永岡桂子、林芳正、山田賢司、吉川ゆうみ、赤松健 出典:自民党ウェブサイト

「文化芸術をわが国成長の原動力へ」

5月31日、自民党衆議委員の有志が提言「文化芸術の力をわが国成長の原動力へ ~文化立国実現に向けた国家戦略の構築~」を取りまとめ、関係大臣への申し入れを行った。内容は51ページの資料にまとめれている。

メンバーには、昨年11月27日の参議院予算委員会にてインバウンド需要における現代アートの「稼ぐ力」を主張した参議院議員の吉川ゆうみも含まれる。

今回の提言の重点施策として挙げられているのは、「1. わが国の文化財を護り、育て、伝え、活かす方策」「2. 国立劇場の整備促進に向けた方策」「3. メディア芸術ナショナルセンター(仮称)構想の加速化方策」「4. クリエイター・アーティスト育成支援に向けた方策」「5. アート市場活性化・国際拠点化に向けた方策」「6. わが国文化芸術をより豊かなものに発展させるための様々な方策(地域の様々な文化の継承と振興、担い手の育成等)」の6点。

日本人アーティストの存在感を高めるために

現代アートに関する言及も多数行われている。たとえば、日本を現代アートの国際発信拠点とするための取り組みを日本全体で強化し、優れた作品がたんに消費されて終わるのではなく、それらが生み出される土壌を充実させること。そして「受け手」(コレクター)の層を厚くすること、美術館の機能強化など、エコシステム全体を振興していくことを重要視。あわせて、国際的なアートフェアの招致なども視野に入れるべきとしている。

令和5年度の補正予算では文化庁に初めてクリエイター支援・文化施設の機能強化のための取崩型基金(5年100億円)が創設されたが、提言では「クリエイターによる自由な活動のための環境整備」として、文化庁を中心に今後さらなる規模拡大、機能強化に向け取り組むべきと強調。

また、クリエイターを育成していくためには、アーティストに加えキュレーターや批評家などの育成も並行して進め、日本人アーティストのプレゼンスを高める仕掛けを展開していくべきだと書かれている。具体例として挙げられているのは、世界最高峰の国際芸術祭であるヴェネチア・ビエンナーレ日本館の予算拡大や、アーティスト関連書籍の出版助成、アーティストと海外キュレーター、ギャラリーとのネットワーク強化など。

5年以内に日本のマンガ・アニメ文化を守る拠点を

こうした提言は映画、アニメ、ゲーム、音楽など他分野におよぶ。「メディア芸術ナショナルセンター(仮称)構想の推進」の項目では、マンガやアニメの原画が国際オークションなどで取引され、海外に流出していることを懸念。日本のマンガ・アニメを保存・継承するための拠点整備を5年以内に実現すべきなど、具体的な内容となっている。

提言の全文は自民党のウェブサイトから見ることができる。

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