今秋タイ・バンコクで、バンコク・アート・ビエンナーレ2024が開催される。会期は10月24日~2月25日。会場は、バンコクの三大寺院にも数えられるワット・アルン(暁の寺)、ワット・ポー(涅槃寺)などの古代遺跡、サイアム博物館、タイ国立美術館、そして183万平方メートルに及ぶ、仕事、生活、小売を網羅する複合施設「ワンバンコク」などの9ヶ所。バンコク市内を舞台に、世界各国から45名の一流アーティストが集結する。
今回のテーマは「Nurture Gaia(ガイアを育む)」。文化を超えて生命を育み、与える存在としての地球を概念的に拡張して、人類学、集団主義、エコロジー、フェミニズム、時間と場所の政治など、現代において重要なテーマを探求する。
バンコク・アート・ビエンナーレを率いるのは、キュレーターチームの最高責任者兼芸術監督であるアピナン・ポーサヤーナン。キュレーターチームには、ベネッセアートサイト直島の国際芸術監督兼キュレーターである三木あきこも参画している。
アドバイザーは、パフォーマンスアーティストのマリーナ・アブラモヴィッチ、ポンピドゥー センター国立近代美術館名誉館長のジャン=ユベール・マーティン、キュレーターのチウ・ジージエ、シンガポール国立美術館およびシンガポール美術館館長のユージン・タンなどとともに、森美術館館長・国立アートリサーチセンター長の片岡真実が務めている。
アーティストは、越後妻有大地の芸術祭にも参加しているアデル・アブデスメッド(アルジェリア・フランス)、ヴェネチア・ビエンナーレスイス代表(2024)のゲレイロ・ド・ディヴィーノ・アモール(スイス・ブラジル)、東京オペラシティ アートギャラリーで「カミーユ・アンロ|蛇を踏む」(2019)を開催したカミーユ・アンロ(フランス・アメリカ)、さいたまトリエンナーレ2016や十和田市現代美術館《フラワー・ホース》でおなじみのチェ・ジョンファ(韓国)、シドニー・ビエンナーレ(2026)にも参加が決定しているチトラ・ガネーシュ(アメリカ)、エルムグリーン&ドラッグセット(デンマーク、ノルウェー)、アイザック・チョン・ワイ(香港・ベルリン)、リサ・レイハナ(ニュージーランド)など。
日本からのアーティストでは、人間とは異なる視点やふるまいを持つ動物たちとの共作を通して、人と生き物の関係性を再考するAKI INOMATA、水戸芸術館 現代美術ギャラリーで「他者に対して、また他者と共に」が開催される山下麻衣+小林直人、「ドクメンタ15」(2022)に出展し、いま注目を浴びている今津景がインドネシアのアーティストバグース・パンデガとともに参加する。
過去3回の開催で、350万人を超える来場者を集めたバンコク・アート・ビエンナーレ。気候変動、パンデミック、戦争、人間が引き起こした環境破壊など、重大な課題に向き合うビエンナーレに注目したい。