K-POP関連グッズ店や飲食店が立ち並び、街に集まる若者たちの姿が熱気をつくり出している新大久保。ここに、新アートスポット「新大久保UGO(ウゴウ)」が誕生した。ルールなくバラバラに寄り集まる「烏合(うごう)」をスペース名の由来とし、アーティストを中心とする9名の実行委員が場を運営する。
じつは、2020年初夏のオープンを予定していたUGOだったが、コロナ禍によってオープンを延期。10月17日のオープンに至るまでに当初4名だった運営委員は9人に増え、磯村暖、海野林太郎、龍村景一、丹原健翔、林千歩、中尾一平、ぱにぱにぱにぱにともちんぱ、三好彼流、山縣瑠衣がアトリエ、ギャラリー、バーと宿泊施設(宿泊施設の開始時期は未定)を運用していく。
UGOがあるのはJR新大久保駅から徒歩3分ほどの、大通りから一歩裏手へ入った場所。メンバーの龍村が過去にアーティストの大里淳とともに制作したグラフィックの看板が目印となる。UGOの前の道路には、その他にもいくつかの壁画が描き下ろされている。
そして中に入ると、バーカウンターが登場。バーは海野、中尾が運営や接客を取り仕切り、「ジャングル」がキーワードのグラフィックが施されている。ここでは週に2回程度、夜の時間帯に地元のコミュニティやメンバー友人などを呼び込む予定とのこと。バーの名物「ガラムレモネード」は、メンバーの丹原が考案したスパイスの効いたオリジナルカクテルだ。
11月7日まで開催中のオープニングイベントは「UGO祭 2020」。イベントの一環として、展覧会「We(You)are Beautiful!」も行われている。参加作家は、運営メンバーに加えMES、荒渡巌、Nimyu、大木裕之、青木美紅、AHMED MANNAN、Elliott Jun Wright & Michelle Ceja、郭青泉。
UGOの今後の活動としては活動報告、一部作品の限定販売、意見交換会を行う「サポーター限定イベント」、都市でスペースを維持するうえで浮き上がるジェントリフィケーション(町の富裕化)問題を討論する「ジェントリフィケーション討論会(仮)」。そのほか、UGOで開催されたトークのアーカイブや活動記録の動画アップロードなどを行うストリーミングイベントに加え、展覧会、上映会、トークショー、ワークショップ、ダンスバトルなども開催予定だという。
立ち上げ当初から「いろんな人が自由に立ち入りできる新たなコミュニティ」を目指してきたUGOは、多種多様な人々が自分らしく生きることのできるコミュニティを実現するために生まれた。多様性という課題と向き合う試みであると同時に、活動や思想の拠点で、仲間と出会える安全な場。UGOは自らをアートスポットではなく「パワースポット」と呼ぶ。
会場を訪れたら、オープンまでの経緯やメンバーのテキストや作品の載る『烏合読本 vol.1』(500冊限定)も手に取ってほしい。