終了した展覧会・イベントです

丹羽良徳 「時代の反対語が可能性」

AI KOWADA GALLERY
終了しました

アーティスト

丹羽良徳
2012年。この当たり前の年号に文頭に置いたのは無根拠ではない。きっとこれが現在であり、最もいま重要な課題として立ちはだかっているからである。ぼくらは、最後まで現在から逃れることはできない。
現在進行形の新しき今日というのは、常に絶えず更新されうる状況を待ち望んでいるにも関わらず思考は混沌した状態から抜け出すことはできずに震え上がるばかりで、いっこうに明日にはいけないで、どうしても明日に見えていたものが今日にすり替わってしまったところで、ああしまった、と嘆くばかりではどうしようもない。それは置いてきぼりを喰らった少年にように、健やかに見送るわけにもいかないので、冷や汗まじりに臭い吐露を投げ出すばかりかもしれないが、昨日だってそうだったに違いないと結論をどうにか穿り出す。奇妙なことに、世界の端っこであったと思われていた思想は既にもうどこにもない、ただただあるのは、とんでもない距離の向こう側に見える不確かな終焉だけであったのは、今も変わっていないように思う。
それはぼんやりと第三者を冒涜することが可能なこの世界の特徴なのであった。運命とは無縁に、街でふいにすれ違ったあらゆる他人のことを考えてみるといい、それはきっとぼくや私という主体性のマジックからは到底考えも及ばない世界を生きていると同時に、社会という同じ名前の幻想を生きると信じてやまない。それは「私には関係がない」という存在の極地から生存の可能性を破棄しつつも、同時に自分の生命維持の最前線を行くものである。それは自己保身と自己防衛の武器である。どう考えても、私とは関係がないという極地から走り始めることが、この2012年の流行語大賞になってしまっても、ぼくは説明できるぞという気合いにも似た確信を持ちながらも、それはきっと私には関係がないというマジカルな部分として、切り捨てられることで会話不能となったところでようやく現前に姿を表すという矛盾した存在なので、どうも会話にはならないらしい。つまり、それは観光と観光地という関係に集約される比喩的な存在であって、資本家と労働者という使役の関係ではなく、そこにあった空間と、無関係にどこからかやってきた客人の関係であった。その関係には、歴史や地理的ななんら一切の必然を感じられない。唯一関係を繋ぎ止める根拠といえば、客人が客人となるための自主的な動機でしかないのであった。それはぼくにとって、非常に希望に満ちた関係のように思われる。

[画像: 丹羽良徳 「首相官邸前から富士山頂上までデモ行進する」(2012)パフォーマンスのドキュメントビデオ]

スケジュール

2012年10月13日(土)〜2012年11月17日(土)

開館情報

休館日
イベントにより異なる。イベント期間以外は事前予約制

オープニングパーティー 2012年10月13日(土) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
会場AI KOWADA GALLERY
http://www.aikowadagallery.com/
住所〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 211号室
アクセス東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩3分、東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分、JR秋葉原駅電気街口より徒歩11分
電話番号080-4415-8322
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します

0件の投稿

すべて表示

まだコメントはありません