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金朝美 「Pre-Fab - Temporary Living of Home」

アート・ラボ・トーキョー
終了しました

アーティスト

金朝美
Jomi Kimの作品が持つ繊細な触感は、存在と不在、そしてある種の不確かさが先行する 間 —inbetween—の空間を感じさせる。彼女は自身の海外生活の経験をうち(home)と家庭的な空間に対する理解を深めるものとして描いている。しかし、こういった空間は普段私達が気にも留めず淡々と生活して行く束の間で一時的な場所でしかない。

ロンドンでの1年半、作者は他の学生達と同様に、借家に一時的に住む事になる。そのような借家の部屋は、新しい住人によって生まれる隠れた記憶が、毎年絶え間なく蓄積されて行く。

どれだけの足がこの床を歩き、どれだけの顔がこの鏡に映り、どれだけの囁きをこの壁は聞いてきただろう?
私達の生活空間を成すこの場所こそ、他者の人生が染み込んだ場所であるー作者はそれぞれの痕跡を仄めかしている。

私達は、期間限定の<うち>にしかなり得ない事を熟知しながらも、その場所をうちにしていこうとする。私達はどのようにして或る場所を個のうちとして切り開き、またどのように立ち去るのであろうか?という疑問を問い掛けられる。

Jomi の作品には、マスキングテープで作られた小さな家や、髪を使って作られた複雑な形に見る<うち>をつくるための努力から費やされたにもかかわらず、どんなに簡単に私達の存在が消去されてしまうのかを示唆するちょっとしたディテールが含まれている。

彼女の作品の多くには、例えば'Shelter'は、さなぎをブルータックから作り、'Transient 'ではデリケートに編み合わせた髪を使うといったような、独特な自然、オーガニックなモチーフが使われている。ここに成長へのせき立てや、或る場所に根を下ろすといったような事が自然のリズムの変動を用いて同時に表現されている。安らぎと保護のある場所はは探しだせても、それはしばしばうちと関連した信頼できる安定性とはまた違ったものである。

これらの投げかけは、作者の物質性によってさらに掘り下げられる。一般的な接着剤であるマスキングテープとブルータックは作者にとって自身の仮住まいの経験や、さらにこれらは束の間の付着にしか過ぎないかもしれないという確固たる不安を抱えながらも、その場所との繋がりに対する願望を仄めかす重要な引用である。作者の肉体的素材、特に作者自身の髪の使用は、もう一つの存在の痕跡を提示する事によってその人の存在を示している。

一時的な場所に住むという事は、自分がその場所に与えるインパクトも一時的であるという事に他ならない。部屋は住人の人生を表すため装飾されるが、出るときは本来の個人の感情を含まない非個人的な状態へと戻さなくてはならない。マスキングテープとブルータックは、写真やポスターを一時的に貼り付ける目的で頻繁に使われるが、部屋を引き払う際これらは剥がし取られ、また同じ、飾り気のない、ありのままの壁が再現されるのだ。

だが、このような人間の存在の痕跡を消去する事は、そんなに簡単でないのかもしれない。たった一本の髪の毛が、先の住人の存在を感じさせる事が出来るからである。

エマ・オオタ
インディペンデント キューレーター

オープン 13:00〜20:00 (8月12日(日)休廊)
オープニング・レセプション8月11日(土)18:00〜

スケジュール

2007年8月7日(火)〜2007年8月18日(土)

開館情報

時間
15:0020:00
休館日
月曜日
入場料無料
展覧会URLhttp://www.ueno-mori.org/kobo/shizen20/index.html
会場アート・ラボ・トーキョー
http://artlab-tokyo.com/
住所〒107-0061 東京都港区北青山2-7-26 メゾン青山202
アクセス東京メトロ銀座線外苑前駅2b出口より徒歩2分、東京メトロ銀座線・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅1番出口より徒歩11分、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B4出口より徒歩11分
電話番号03-6231-6768
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