水戸芸術館 現代美術ギャラリーで、11月2日~2025年1月26日に「田村友一郎 ATM」が開催される。
田村友一郎は1977年富山県生まれ、京都府在住。写真、映像、インスタレーションからパフォーマンスや舞台までを横断しながら、既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品を手掛けてきた。ある土地の持つ固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで幅広い着想源をもとに、現実と虚構を交差させた多層的な物語を構築し、新たな解釈を付与、それらを現代へと接続する作品は、鑑賞者を様々な連想や多様なイメージの世界に導く。
田村はこれまで国際芸術祭「あいち2022」、ヨコハマトリエンナーレ2020、2019アジア・アート・ビエンナーレ(台湾)、釡山ビエンナーレ2018、SeMAビエンナーレ:メディアシティ・ソウル2014、瀬戸内国際芸術祭2013など、数多くの国際芸術祭へ参加。現在もっとも注目を集める現代美術家のひとりだ。
作家にとって過去最大規模の個展となる今回は、同館の英語表記「Art Tower Mito」の略称「ATM」から着想を得た新作《ATM》を発表。来場者は、田村がこれまで書き綴った膨大なテキストを手がかりとして生成AIが創作するショートストーリーによって、田村の作品世界へと導かれる。ナレーションや語り手を伴った物語、説話、エピソードのような形態で、ナラティヴな要素をもつ作品を構築してきた作家は、作品の出発点にはテキストの述作があると言う。新作《ATM》は、この述作という行為を生成AIに委ねることで、遺物としての田村の過去作の断片を辿りながら新たな物語を紡ぎ出す。回顧展に擬態した新作展ともいえるユニークな内容だ。
11月2日13:30~15:00にはアーティストトーク、2025年1月11日14:00~15:00には田村友一郎《テイストレス》上映も予定。12月8日11:00~12:00には託児付きギャラリートークを開催。詳細は公式サイトを確認してほしい。