2024年3月15日〜6月9日に開催予定の第8回横浜トリエンナーレ。「野草:いま、ここで生きてる」をテーマとする本国際展の第1弾参加アーティストが発表された。
今回明らかになった参加アーティストは67組。うち日本初出展が30組、新作を出展するのが21組。日本で初めて紹介されるアーティストが多数出展することがわかった。
「先行きの見えないこの時代を、野草のようにもろく無防備でありながら、同時にたくましく生きようとするひとりひとりの姿に目を向けます。世界中から集まる現代アーティストたちの作品を通してわたしたちの生き方をふり返り、その先にきっとある希望をみなさんとともに見出したいと考えます」(プレスリリースより)という本展の企画趣旨に則り、様々なアイデンティティや属性、バックグラウンドを持つ参加アーティストが集う。
ここで数組を紹介しよう。
ヨアル・ナンゴ(Joar Nango)は1979年アルタ(ノルウェー)生まれ、ロムサ/トロムソを拠点に活動。北極圏に生活する遊牧民「サーミ族」の血をひき、資源不足や気候変動に直面するいまの社会に対し、人と自然の新たな共生の在り方を示す作品で知られる。
ピッパ・ガーナー(Pippa Garner)はイリノイ州エヴァンストン(米国)生まれ、カリフォルニアを拠点に活動。トランスジェンダーであり、自らの性移行をアート・プロジェクトとして公開するなど、既成概念にとらわれない多様性のあり方を社会に問う。広告が作り出す男女のイメージや消費社会に「生きづらさ」を感じてきた自らの経験をもとに作品を発表してきた。
ルンギスワ・グンタ(Lungiswa Gqunta)は1990年ポートエリザベス(南アフリカ)生まれ、ケープタウンを拠点に活動。南アフリカの社会に潜む家父長制や植民地主義から生まれる不平等について、日用品を使った立体作品で表現する。本展では横浜美術館内の無料エリアで有刺鉄線を使ったダイナミックな新作を展示予定。
オープングループ(Open Group)は、2012年にウクライナのリヴィウで結成されたコレクティヴ。集団による協働作業のプロジェクトを実践する。ロシアのウクライナ侵攻によってリヴィウの難民キャンプに逃れた市民を取材し、戦争や紛争の現状をリアルに伝える作品を日本で初公開する。
SIDE COREは2012年より活動する日本拠点のコレクティヴ。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。都市の死角や隙間である路上や地下を舞台に、グラフィティやパフォーマンスなどストリートカルチャーの視点からプロジェクトを展開してきた。本展では横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO の3会場で新作を発表する。
そのほか、北島敬三、森村泰昌、丹羽良徳、 志賀理江子、富山妙子、スーザン・チャンチオロ、ラリー・クラーク、ジョシュ・クライン、何兆南(サウス・ホー)、黄博志(ホァン・ボージィ)らが名を連ねる。全アーティストはこちらのリストで確認できる。
これらアーティストの作品は、横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKOの会場内で展示されるとともに、一部は、3会場の建物の外側、街の中、横浜美術館の無料エリアでも楽しむことができる。
今後の続報にも期待したい。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)