東京・恵比寿で毎年開催される「恵比寿映像祭」。第7回の今年は2月27日(金)から3月8日(日)まで10日間の日程で行われるが、そのラインナップが発表された。
最初の見どころは、海外の著名な映像作家の来日だ。2014年にターナー賞を受賞したダンカン・キャンベルが受賞作品《It for Others》を上映するほか、国際的に活躍する現代アーティストのパヴェウ・アルトハメル、アメリカからは世界が注目する若手アーティストのライアン・トラカートゥンらが参加。ブラジル最古の前衛映画として知られるマリオ・ペイショットの《限界》や、伝説的アーティストのエリオ・オイチシーカを紹介するドキュメンタリーの上映も行われる。
メディア表現を深く掘り下げるプログラムも。「Yebizoラウンドテーブル」では60年代以降のメディアのこれまでと現在地、そしてこれからをとりあげる。また「メディア・アートとしてのハッキングのこれから」では最新のテクノロジーを用いて作品を発表するアーティスト・真鍋大度をはじめとする登壇者が注目する動向や、テクノロジーの可能性とリスクを軸にパネルディスカッションが行われる。
ビデオの社会的コミュニケーションの役割に着目し、新たな芸術活動の可能性を模索した「ビデオひろば」では、中谷芙二子、かわなかのぶひろ、和田守弘の作品を紹介。また、上映プログラムでは約60年のキャリアを持つ実験映画の巨匠、ケン・ジェイコブスの近年の代表作を含む3作品を特集。実験的に、あるいは独創的に、流行に対抗するオルタナティヴな視線を投げかけてきた先駆者をとりあげる。と同時に、昨今、注目を集める1980年代生まれの若手アーティストたちも紹介。上映プログラムでは気鋭の映画監督・三宅唱の新作や「光の新機軸―日本若手作家特集」と題して1980年代生まれのアーティストを特集。展示では携帯電話を用いて現代社会の問題を浮き彫りにする山口典子や、ドキュメンタリーとフィクションの境界を問う鈴木光、郊外をテーマに制作を行う佐々木友輔、スズキユウリなど現代を映す新進のアーティストが集う。
恵比寿ガーデンプレイス センター広場にて大型インスタレーションを設置しているオフサイト展示では、新進の映画監督・瀬田なつきによる回遊式の短編映画作品《5windows》恵比寿特別編を展示。旧作5本に加え、恵比寿周辺を舞台に撮影された《5windows eb》《5windows is》の新作を含む計7本を、恵比寿ガーデンプレイス センター広場を中心に、エビスビール記念館など周辺地域のさまざまな場所で鑑賞することができる。
金沢21世紀美術館をはじめ、各地で大規模な個展を開催するなど、日本を代表する写真家・ホンマタカシの新作インスタレーション《最初にカケスがやってくる》も展示される。映画監督・諏訪敦彦とのスペシャルトークや、ホンマと知床へ同行し、国際的な評価も高いパフォーマンスグループ contact Gonzo のパフォーマンスも決定している。
この他にも、「惑星で会いましょう」という今回のテーマのもと、映像をとおして複層化する世界に向き合い再発見する手掛かりを探るべく、充実したライブプログラムや、より理解を深めるフェスティバルガイドツアー、13の施設が参加する地域連携プログラムなどが予定されている。
執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo)