セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、そして大阪市中心部に位置する大阪中之島美術館。大都市にある3つの美術館による共同企画 「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」が東京国立近代美術館を皮切りに、5月21日〜8月25日に開催される。マティス、バスキア、草間彌生などモダンアートを代表する巨匠から現代に活躍するアーティストまで、初来日32点を含む約150点が勢揃いする。
展示内容は、豊かなモダンアートのコレクションから共通点のある作品でトリオを組んで、構成するというユニークなもの。「モデルたちのパワー」「空想の庭」「日常生活とアート」など、34のテーマに沿って、各美術館のコレクションから作品をセレクト。絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など総勢110名の作家による約150点の作品から組み合わされた34のトリオが、7つの章に分けて紹介される。
たとえば、テーマ「空想の庭」では、ラウル・デュフィ《家と庭》、辻永《椿と仔山羊》、アンドレ・ボーシャン《果物棚》が組み合わされている。植物に深い縁のある3名の画家は、それぞれが好んだ草花や果物、動物をリズミカルに画面に配置しながら、自由にイマジネーションを羽ばたかせ、絵の中にしか存在しない空想の庭とでも呼ぶべき世界を作り出している。
テーマ「現実と非現実のあわい」で見られるのは、いずれも過去の絵画を参照し、画家が自らの分身のような存在を描き込むことで、現実と非現実のあわいを出現させている点で共通する、ヴィクトル・ブローネル《ペレル通り2番地2の出会い》、有元利夫《室内楽》、ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》の作品だ。ブローネルは、かつてアンリ・ルソーが住んでいたペレル通り2番地2に引っ越したことから、アンリ・ルソーの《蛇使いの女》(1907、オルセー美術館)に、ブローネル自身が生み出した、巨大な頭部と2つの身体、6本の腕を持つ「コングロメロス」を登場させている。
主題やモチーフ、素材、作品が生まれた背景、時代、流派、洋の東西を越えて、自由な発想で組まれたトリオの共通点は様々だ。20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせてくれるだろう。大阪中之島美術館でも 9月14日〜12月8日に開催予定だ。