愛知県にある豊田市美術館の2025年度の展覧会スケジュールが発表された。現在、同館では「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」が5月6日まで開催中だが、本展に続く展覧会ラインナップだ。
また2024年4月26日には豊田市美術館の隣に「豊田市博物館」が開館。坂茂が設計する博物館と、美術館建築の名手・谷口吉生の設計による美術館の2つの建築が並び建つ姿にも期待したい。
ラインアップは以下の通り。
グラフィックアートの可能性を追求したオランダの画家マウリッツ・エッシャー(1898〜1972)。遠近法的、幾何学的、そして構成的な手法を用いて芸術と科学とを融合させた作品は、見る人の視覚を刺激し、多くの驚きを与えてきた。本展では初期から晩年まで、エッシャー芸術の神髄を体験コーナーを交えて紹介する。
制度化され、統治されることへの抵抗=アナキズムのうちに美術の本来的な性質と力を認め、近代以降、現在に至る作家たちの活動を通して、その可能性を問う。
玉山拓郎(1990〜)は絵画制作を出発点としながら、立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開してきた、現在もっとも注目を集める若手作家のひとり。美術館での初めての個展となる本展では、同館の特徴的な展示空間に巨大な物体を貫入させ、未知なる領域を作り出す。
漆、貝、木竹など多様な素材を生かす高い技量と造形力により、独自の足跡を工芸史に残した黒田 辰秋(1904〜82)。華やかさとおおらかさを併せ持つ作品を文人墨客は日常的に愛してきた。本展では、初期から晩年にいたる代表作に未発表資料も加えて展観し、人間国宝・黒田辰秋の作品世界の真髄に迫る。
現代工芸を代表する漆芸家の髙橋節郎(1914〜2007)は、これまで生活道具であった漆芸を、屏風や絵画などの美術作品として展開した。本展では、髙橋節郎館のリニューアルオープンを記念して、その革新的な漆作品の数々を紹介する。