シアスター・ゲイツ展「アフロ民藝」が、森美術館で4月24日〜9月1日に開催される。1973年シカゴ生まれのシアスター・ゲイツは、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなどメディアやジャンルを横断し、活動で国際的に高く評価されているアーティストだ。本展は、ゲイツの日本初、そしてアジア最大規模の個展。背景にある黒人史や黒人文化と併せて包括的に紹介する本展は、国内では過去に例を見ないスケールでの試みでもある。
1960年代にアメリカで行われた、黒人の公民権の適用と人種差別の撤廃を訴えた公民権運動「ブラック・イズ・ビューティフル」運動から、ゲイツが思い描く未来まで、黒人史がもたらした現代文化への影響を紹介する。なかでも、ゲイツの建築プロジェクトとして有名な「リビルド・ファウンデーション」(2009)も資料で紹介される。これは、平等な権利を与えられなかった黒人が多数を占めるシカゴのサウス・サイド地区で、廃墟となった40軒以上の建物を、誰もがアートや文化活動に参加できる空間に作り変えてきた。
「『アフロ民藝』は、西洋文明が浸食するなかで、伝統や歴史を守り継ぐために日本で起こった民藝運動と、米国におけるブラック・パワー運動、黒人解放運動という2つの重要な運動を融合させる試みだ」と、ゲイツはステートメントで述べている。ゲイツの多角的な実践を通して、グローバルなアートシーンで近年関心が高まっているブラック・アートの魅力に迫りたい。